(イメージ / Pixabay CC0 1.0)
十数年前、ある母親が初めて先生との面談に参加した時、幼稚園の先生から「お子さんは多動性障害があり、3分間さえもじっとしていられません。病院に連れていって診察を受けたほうがいい」と言われました。
家に帰る途中、息子に「先生はなにを言ったの」と聞かれ、母親は涙が出そうになりました。同じクラスにいる30人の子供のなかで息子が一番悪く評価され、息子だけが見下されているかのように思えたのです。
それでも母親は「先生から褒められたよ!最初は1分間さえもじっと椅子に座れなかったのに、今は3分間座るようになったよ!ほかのお母さんも羨ましがっていたよ。だってクラスではあなただけ前よりよくなっているの!」と息子に言いました。その日の夕食のとき、息子は親の助けなしに初めて一人でご飯を食べ終えました。
しばらくして息子は小学校に通い始めました。二者面談のとき、先生は「今回の算数テストですが、クラスにいる50名の生徒のうち、お子さんは50番でした。知能障害の疑いがあるため、病院に連れて行って診察を受けたほうがいいですよ」と言われました。
家に帰る途中、母親は涙を流しましたが、家に帰って息子に対し、「先生はあなたの能力を信じている。頭が悪い子ではないから、もうちょっと真面目に勉強すればきっと隣の子よりもいい成績が取れるはずよ。今回のテストで隣の子は21番だったの」と言いました。
母親の励ましの言葉を聞いて、それまで暗かった息子表情はパッと明るくなり、目もきらきら輝いているようになりました。母親はその瞬間に息子の成長を感じました。翌日の朝、息子はいつもより早く学校に行きました。
数年が経ち、息子は中学校に進学しました。先生との面談が行われ、母親は席に座り、不安な気持ちを抑えて先生に聞いてみたところ、「お子さんの成績だと、偏差値の高い高校の合格ラインぎりぎりですね」と先生は言いました。
母親は多いに喜びました。学校から出ると息子が待っていました。家に帰る途中、息子の肩に手をかけ、言葉では言い表せないほど幸せな気持ちに包まれた。「担任の先生はあなたに非常にいい評価をしたよ。頑張れば偏差値の高い高校に受かる」と息子に言いました。
息子が高校を卒業しました。大学からの合格通知書が届いたとの知らせを聞いて、母親は息子が第一志望校の清華大学(中国でもっとも有名な大学の一つ)に合格したのではないかという予感がありました。志望校を書くとき、母親は息子を信じて、清華大学に絶対受かると言っていたのです。
息子が学校から帰って来るやいなや、清華大学の新入生募集事務室の印が付いている封筒を母親に渡し、自分の部屋にこもり大泣きしてしまいました。「ぼくは頭のいい子供ではなかったが、世の中にはぼくのことを大切にしてくれるお母さんがいる・・・」
この瞬間、母親は悲喜こもごも、十数年間ずっと抑えてきた涙を抑えられず、あふれる涙で封筒を濡らしてしまいました。
(翻訳・清水小桐)