英公共放送BBCは31日、 北京特派員ジョン・サドワース記者が家族とともに台湾に移動したと発表しました。移動した理由について、新疆ウイグル報道を担当していたサドワース氏は、中国当局が最近、BBCに対し強い攻撃を展開し、自分にまで危険が及んでいたからだといいます。サドワース記者は中国を離れましたが、彼の同僚が中国に残りました。サドワース氏は今後、台湾で引き続き中国の情報を発信するそうです。
BBCは約3年前から新疆ウイグル族の「再教育施設」で行われていた拷問や集団性的暴行などの中共による人権侵害を暴露し続けてきました。特に最近の暴露報道により、ウイグル族への迫害は世界の関心を集めました。これらの暴露が増えるなか、トランプ政権は中共当局の一部関係者に対し制裁を発表し、ポンぺオ元米国務長官が中共による「ジェノサイド」と認定しました。最近、これらの暴露報道を巡って、中共とBBCの対立が強まりました。
台湾の国営通信社「中央社」の報道によると、英当局は2月、中国国際テレビ(CGTN)の放送免許を取り消し、そして同テレビ局に対し、嘘の報道をしたとして、22万5000ポンド(約3393万円)の罰金を科しました。 これに対し、中共はBBCのウイグル族の人権侵害に関する報道が事実無根だと非難し、BBCワールドニュースの放送を禁止する措置で対抗しました。
中共による人権侵害を暴露したサドワース記者は自社のインタビューで「ここ数年、私は報道してきたため、中国当局からずっと圧力と脅迫を受けてきた。特にここ数カ月で段々と酷くなってきた。中国のSNS上で、BBCへの言葉の攻撃が強くなり、私にも延焼してきた」と中国のSNS上で攻撃を受けていたと明かしました。
また、「法の措置を取ると脅迫を受けた。撮影するときも監視・妨害・嫌がらせを受けていた。私と家族がこのまま北京に滞在すれば、非常に危険だとわかった」と危険を感じたといいます。さらに、「多くの外国メディア記者がより自由のある台湾を選んだ」と述べました。
同報道によると、外国メディアの中国特派員が中国当局の圧力に耐えられず、相次いで撤退したり、他国へ移動したりしました。サドワース記者と妻のイボンヌ・マーレー記者は中国を離れた新たな記者です。妻のマーレー氏は公共放送を担うアイルランド放送協会( RTÉ )のただ一人の中国特派員で、台湾への移動により、同協会の中国特派員がいなくなりました。
また、中国側は新疆ウイグル報道を巡ってBBCを提訴するつもりのようです。中国では訴訟中の人は出国できません。つまり、サドワース記者は訴訟を起こされる前に中国を離れないと、自由を失う可能性がありました。
昨年、中共は「NY・タイムズ」「WSJ」「ワシントン・ポスト」などの米メディアの記者を中国から追い出し、スパイの罪で数人逮捕したこともありました。またオーストラリア国籍の成蕾記者も昨年8月、国家安全に危害を与えたとして逮捕されました。これを受け、オーストラリアの記者2人は安全のため、帰国しました。このほか 「Bloomberg」北京支局の中国籍の范若伊記者も昨年12月、同様に国家安全に危害を与えたとして、拘禁されました。
中国では中共当局に不利の報道をすれば、身の危険を伴うようです。
まして中国国内にいる中国人が言論の自由を求めれば、なおさら危険な状況になるのが現実となっています。
(新時代Newsより転載)