中国共産党の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は先日、香港選挙制度の細則の改正を議論するために2日間の会議を行った。会議は30日の朝に終了し、香港の選挙制度を決める2つの法案を全会一致で可決した。習近平国家主席は、直ちに主席令第75号と第76号に署名して公布した。同2つの新法案は大きく改定され、元の選挙制度の中の民主主義的な意味合いを持っている規則を全部廃止した。
新法案では、香港立法会の人数を70人から90人に増加し、香港の有権者が直接選出した香港立法会議員の人数は元の35人から20人に減らした。また、委員選挙に参加する候補者はいずれも香港選挙委員会の選別を受け、香港の警察と国家安全局により候補者が愛国者であることを証明しなければならないなどが規定された。
今回の改定法案は、香港の区議会議員(主に民主派)を選挙管理委員会から除外した。中国共産党の幹部の中には、区議会は政治から離れ、区議会議員の中の反共産主義者が選挙に干渉するのを防ぐべきだと言う人もいた。
ロイター通信によると、2つの新改定法案に対し、英国のドミニク・ラーブ外相は30日、「中国共産党は本日、香港の選挙制度の改革法案を可決した。これは明らかに『英中共同声明』の違反であり、中国共産党の国際的な義務に反し、香港の人々の自由を奪った」と声明を発表した。
1984年にサッチャー元英国首相と趙紫陽元中国共産党総理が署名した「英中共同声明」によると、香港の自治と民主主義は50年間変わらないものとされている。
香港の監査組織の最高経営責任者であるベネディクト・ロジャーズ氏は、「中国共産党のこれらの新規定により、大多数の香港人が永久に政治権力を剥奪され、香港の民主主義と自治を支持する人や中国共産党を批判する人は、永遠に立候補することを禁止されるだろう」と述べた。そのため、同氏は英国政府に対して、マグニツキー法案を速やかに提出し、中国共産党との貿易交渉を中断するよう促した。
(翻訳・藍彧)