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トランプ米大統領の主導による対中貿易戦が始まった後、生産拠点や生産ラインを中国から撤退させるアジア系メーカーがますます多くなっている。移転先は他のアジア諸国の場合もあるが、本国へ移転するケースもある。
ロイター通信によると、工場を移転した企業の中には、韓国SKハイニックスや日本の三菱電機、東芝機械、コマツなど大手メーカーが含まれている。企業が移転作業を計画し始めたのは7月頃、第一回目の関税が課されたばかりの時期であり、現在既に移転作業が始まっている。台湾コンパル・エレクトロニクス(仁宝電脳)や韓国LG等の企業も、二回目の貿易戦がやってくることや米中関係悪化による損失を防ぐために、緊急時の対応計画を策定している。
台湾やタイなど一部の政府も、企業に対し中国から撤退するよう積極的に呼びかけている。
米国は7月に500億ドルの中国製品に対し25%の関税を課した。そして二回目には2000億ドルの中国製品に10%の関税を課すこととなっている。トランプ米大統領は、2670億ドルの中国製品に関税を課す第三回目の課税措置を取ると中国に迫る。実施されれば、中国から米国へのすべての輸出製品に関税を課すことに相当する。この関税は、安価な生産拠点としての中国の地位を脅かしている。
韓国SKハイニックスはコンピュータのメモリチップを生産しているが、既に中国から一部のチップ生産ラインを撤収し韓国本土に移転した。米国マイクロン・テクノロジーも同様、一部のメモリチップの生産ラインを他のアジア諸国に移転した。
ある情報源はロイター通信に対し、韓国SKハイニックスはDRAMモジュール製品の一部を中国で生産し、その後米国に輸出していたが、貿易戦の影響を避けるため生産ラインを韓国本土に移転する予定であると伝えた。
日本メーカーの東芝機械は、米国に輸出するプラスチック成型機の生産ラインを10月に中国から日本やタイに移転すると発表した。また三菱電機は、米国に輸出する機械工具生産ラインを中国大連から名古屋に移転すると発表した。
台湾コンパル・エレクトロニクスの管理者は、貿易戦争の影響は今のところ限られているが、同社も対策案の検討をしていると述べた。
一部のアジア諸国の政府は、米中貿易戦争から経済的、戦略的な利益を得ることを望んでいる。台湾政府は、中国から生産ラインを撤退することを積極的であり、中国本土への経済依存を減らし、サプライチェーンを東南アジアに移動させることを呼び掛けている。
タイの東部経済回廊事務所のクリット・サンサバハム(Kanit Sangsubahan)事務局長は、タイ側も貿易戦をきっかけとして技術と投資を中国から撤退させ、そこから利益を得ることを望んでいる。事務局はタイへの投資を誘致するため、450億ドルのプロジェクトを計画していると述べた。
(翻訳・清水小桐)