中国共産党政権は最近、中国で事業を展開している多くの世界大手企業への世論攻撃を繰り広げ、外国ブランド製品へのボイコットがヒートアップしている。これらの企業で働く中国人従業員も被害を受けた。
米国、カナダ、欧州連合(EU)、英国は22日にそれぞれ人権侵害を理由に、新疆ウイグル自治区の中国共産党幹部4名と団体に制裁を科すと正式に発表した。EUが中国共産党に制裁を加えるのは、1989年の「六四天安門事件」以来となる。これに対し中国が反発し、中国中央テレビジョン(CCTV)は、スウェーデンの衣料品大手H&Mが昨年発表した新疆からの綿の調達をやめる声明を蒸し返して批判した。それに続けて、24日から、新華社通信、人民日報、環球時報などの中国主要国営メディアが、相次いでH&Mを批判する記事を掲載した。
ボイコットは25日に拡大し、バーバリー、アディダス、ナイキ、ニューバランス、コンバース、プーマ、ユニクロ、トミーヒルフィガーなどのブランドにも波紋が及んだ。
現在、中国国内の複数のショッピングサイトがH&Mの商品を取り下げ、H&Mの複数店舗が営業停止を余儀なくされた。大手ブランドと広告契約している中国の芸能人も政府に媚びを売り、一方的に解約を宣言している。さらに、これらの企業で働く中国人従業員も非難の対象となった。
ネットに出回ったチャット記録では、H&Mのオンラインストアのカスタマーサービス担当者が、中国人であるかどうかと聞かれ、「はい」と返事した後、「こんな会社で働くのは、売国奴だ」と罵られた。
ナイキのライブ配信のキャスターが無言で立っているだけで、中国人の顧客に罵られている動画も見られる。また、アディダスのライブ配信キャスターは、ネットユーザーからの暴言に耐えきれず泣き出した動画もある。
多くの中国人従業員が影響を受けたため、「中国人従業員に非がない」という話題が新浪微博(シンランウェイボー)のホット検索リストの上位に入った。報道発表時点で、関連する話題は2.5億回読まれ、5.6万人以上が議論に参加している。
中国ネットユーザーからのコメントをピックアップ。
「今日ナイキとアディダスのライブ配信でキャスターを罵倒した人たちは、数年前の反日デモ行進で中国人が買った日本製の車を叩き壊したごろつきと何ら変わらない。ただ、今彼らはネットに逃げてしまっている」
「ネットショップや会社が潰れたら、職を失うのはやはり中国人ではないのか?」
一方、ネットにナイキの靴を燃やす映像が多く出回っており、数年前に中国で行われた反日デモで起きた、日本製品の不買運動や日本車の破壊行為を彷彿とさせる。
(翻訳・徳永木里子)