インターネット上で2015年に公開された動画が世界的に注目を集めました。動画には、研究者がペンチを使って、ウミガメの鼻穴から長さ約10cmのプラスチック製のストローを、10分間近くかけて取り出す様子が映し出されています。そのヒメウミガメを助けた海洋生物学博士のクリスティーン・フィグナー氏によると、プラスチック製ストローは海洋ゴミの一種であると述べました。
この動画をきっかけに海洋ゴミ問題が再び大きく取り上げられるようになりました。毎年膨大な量のプラスチック製ストローを使用している世界的なコーヒーブランドチェーンのスターバックスは、環境負荷低減のために、率先して自発的に取り組みを始めました。台湾企業の銘安科技(ミニマ)に、バクテリアで生分解できるストローの製造を代行してもらうよう打診しました。
ミニマ代表取締役の黄建銘(こう・けんめい)氏は、当時のスターバックス幹部の「亀の鼻穴に入ったストローは我々のものです、何とかしなければなりません」という言葉に感銘を受けたといいます。
台湾国立成功大学で化学工学博士号を取得した黄建銘氏は、生分解性材料の製造技術を使って、コップ、ストロー、パン袋、カトラリーからサングラス、BB弾など様々な分解性プラスチック製品を生産してきました。ミニマが生産したカトラリーは、洗って一定期間内であれば再利用でき、その後はゆっくりと自然に分解されていきます。生分解されるストローは海に負担をかけず、海に漂うゴミのストローでウミガメが被害を受けることもありません。
黄氏は中央通訊社のインタービューで、「ミニマが生分解性素材の製造を得意としており、我々のコップやストローを使えば、ウミガメでもタピオカミルクを楽しめますよ」と語りました。現在、スターバックスの他、アマゾン、アップル、コストコ、ハッタマッキ、ステープルズ、東レなどがミニマの主要取引先です。
研究者がウミガメの鼻穴からプラスチック製のストローを取り出す様子(YouTube動画):
(翻訳・常夏)