(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 「天網(てんもう)」とは、中国本土(大陸地区)において実施されているAIを用いて監視カメラを中心とするコンピュータネットワークである。2017年年末まで、このネットワークは1億7千万台の監視カメラを組み込んだ、世界中で一番大きい監視ネットワークシステムである。2020年まで、中国本土全部カバーし、13億中国人を監視できると言われた。最近、中国と米国の貿易戦争によって、このネットワークの性能が徐々に下がっている。

 サウスチャイナモーニング紙によると、監視カメラの中にある、レーザー光線を放出する部品は非常に重要だ。監視カメラはこの部品を通して悪天候でも数キロ離れた地点にいる人間の顔を識別できる精度を持つ。しかし最近、米国やヨーロッパ諸国は中国に対し、この部品の輸出を中止した。

 監視カメラのグラフィックス処理チップはまだ中国に対する輸出が禁止されていない。このようなチップは米国から中国に輸出されているもので、近い将来、禁止される可能性が高いとされている。

 現在、中国共産党政権は新疆に在住しているウイグル人を弾圧し、約百万人のウイグル人が拘束されているという。この無視できない現状に対し、アメリカのマルコ・ルビオ(Marco Rubio)国会議員とクリス・スミス(Chris Smith)国会議員らはトランプ大統領に対し、新疆エリアに監視設備を提供している会社に制裁を課すべきだと提言した。

 中国共産党政権は最先端の技術を持っていないため、中国国内で監視カメラの重要な部品を製造することはできない。米国などの先進国諸国が中国に対する貿易戦争と輸出制限を数年間続ければ、中国の「天網」システムは部品交換ができなくなり、最終的には廃棄されるかもしれない。

(文・黎宜明)