2017年保守政治活動協議会(CPAC)で講演するトランプ前大統領(Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0, via flickr)

 米トランプ前大統領は保守政治活動協議会(CPAC)後、共和党内の「RINO(名ばかりの共和党員)」を排除する一方で、民主党が提出した選挙改革法案HR1を極力止めようとしている。

トランプ氏が共和党内を整理

 10日、米連邦議会選挙でルイジアナ州から選出された次期下院議員ルーク・レトロー氏(新型コロナウイルス感染で死去)の未亡人であるジュリア・レトロー氏が、3月20日に行われる選挙に出馬することを、トランプ氏は薦めた。

 11日まで、トランプ氏は11名の共和党員が選挙に出るのを支持するという声明を発表した。2022年の中間選挙に参加する共和党員を支持するほか、上院少数党リーダーミッチ・マコーネル氏を含む「RINO(名ばかりの共和党員)」を排除し、共和党の3つの主要組織に彼自身の名前と肖像を使用して募金することを停止するよう要求した。

 トランプ氏は今月6日に、共和党の理念を尊重しない米上院議員リーサ・マーカウスキー氏が2022年で連任することを止めるべく、アラスカ州での活動に出席する意向を示した。

 トランプ氏のスポークスパーソン兼顧問であるジェイソン・ミラー氏は近日、元ホワイトハウス首席戦略官スティーブン・バノン氏の番組「ウォー・ルーム(War Room)」のインタビューを受けたとき、ジョージア州知事ブライアン・ケンプ氏が2020年の米大統領選挙における同州の投票の合法性を認証しようとしなかったため、トランプ氏は同氏を他の議員に入れ替えさせることを考慮していると述べた。また、激戦州であるミシシッピ州、ウィスコンシン州、ネバダ州やペンシルベニア州の州知事を獲得することが大切だと考えている、とも話した。

HR1法案を止めなければならない

 トランプ氏は、民主党が最近提案した全国的な選挙改革法案HR1は米国憲法に反しており、共和党員は当該法案の通過を止めなければならないと警告した。

 3月1日、すべての共和党下院議員が反対票を投じたが、民主党議員が多数席を占める下院では当該法案が通過した。同法案は、各州の選挙権を取り上げると同時に、郵便投票や期日前投票などの範囲を拡大し、2020年の大統領選でトランプ氏が指摘した各種不正行為を合法化させようとするものだ。

 上院は近日中に同法案を審議する。民主党は上院100議席中の50しか占めておらず、10人以上の共和党議員が同法案を支持しなければ、60票という最低ラインをクリアできない。

 現在、民主党はHR1法案を最優先立法事項としている。もしHR1法案が国会で通過すれば、民主党は永遠に政権を取り続けることができ、共和党はいかなる選挙でも勝てなくなると考えられている。

 トランプ氏はHR1に早くから警戒しており、CPACの演説において同法案は「災難だ」との見方を示した。トランプ氏は「連邦議会で民主党は明らかに違憲な法案を通過させようとしている。いわゆるHR1法案は憲法第一修正案と我々の選挙の公正性を覆そうとしており、政治言論を厳しく制限し、連邦政府による異議者への弾圧を許可し、連邦選挙委員会を政党の政治武器に変える。このほか、全国範囲で投票者の身分に対する要求と投票終了期日を無くした」と述べた。

(看中国記者・肖然/翻訳・北条)