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 中国の両会「全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)」開催期間中、習近平氏の後継者問題が再び注目を集めた。米メディアCNNは、予想外のことが起こらない限り、習氏の後継者は彼自身であると報じた。

 習氏の中国共産党(以下略称中共)総書記と中央軍事委員会主席としての任期(2期目)は2022年末に正式に終了し、国家主席としての5年間の任期(2期目)は2023年春に終了する。

 中共の慣行によると、指導者は2期目から後任の若い世代を指名し、5年間の鍛錬を経て2期目の終わりにバトンを引き継ぐことになる。しかし、習氏の2期目にはそのような後継者は現れておらず、2018年の両会で習氏が憲法を改正し国家主席の任期制限を廃止し、長く統治すると考えていると外界に推測された。

 同報道によると、東洋アフリカ研究学院 (SOAS)中国研究所の曾鋭生所長は、例えば大災害や習氏の死亡など予想できないことが起らない限り、後継者は一人しかいないだろう、それが習近平本人だと述べた。

 今年に入ってから、習氏の一連の動きは、再任に向けてその機会を醸成しているとも見られていた。

 中共は2月25日、全国貧困撲滅表彰大会を開催し、関係する個人や企業を表彰した。習氏は、中共が貧困撲滅に全面的に勝利し、いわゆる「地上の奇跡」を創造したと宣言した。

 中共当局は2月20日、華国鋒氏(毛沢東死後の中国の最高指導者)の記念や、中共の歴史に学ぶことを高らかに謳った。中国問題専門家の薛馳氏は、習氏が各派閥に華氏の「真実を語る正直者になる」ことを学ばせることで中共の内部闘争を抑制しようとしていると分析した。

 2月18日、中共中央テレビ(CCTV)は中央宣伝部と共同で制作した特別番組『平語近人ーー習近平の好きな典故』(シーズン2)を放送し、CCTVニュースモバイル・クライアントやネットで同時に生中継した。

 1月に中央規律検査委員会、中央組織部と国家監察委員会が共同で10の「厳禁」通知を発行したことも、習氏が第20回中国共産党全国代表大会(党大会)の権力配置を展開した動きの一つだと見なされた。

 時事評論家の文昭氏は、習氏が馬雲氏を粛清し、アリババの株主の一つであるボーユーキャピタル(博裕資本)の調査を行ったことは、第20回党大会で再任を目指し、江沢民の派閥を抑制する狙いもあると考えている。

 豪シンクタンク、ローウィー研究所のリチャード・マクレガー上級研究員はCNNに対し、習氏は「後継者の指名を拒否する」という動きだけで、後継者の座を狙う人の野心を扼殺したと分析して述べた。

(翻訳・徳永木里子)