中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)が開発した新型コロナウイルスワクチンを接種し死亡した例が8日、香港で3例目が報告された。専門家委員会は、最初死亡した2例はワクチン接種とは関係ないとし、検視官に依頼していると報告した。また、60歳以上の人は接種しないよう、中国やオーストラリアのやり方を参考することを勧めた。
香港で約1週間でシノバック製ワクチンを接種し死亡した者が3人出た。最初の2例は、63歳の男性と55歳の女性で、それぞれワクチン接種後に冠動脈性心疾患と脳卒中で死亡した。
3例目は71歳の男性で、3日に私立病院でシノバック製ワクチンを接種し、7日に体調不良になり、聯合病院へ入院して8日未明に死亡した。情報筋によると、重篤な持病を患っていなかった。
他にも、慢性疾患を患っている80歳と72歳の高齢者2人が、シノバック製ワクチン接種後に重体となり、集中治療室に転送され治療を受けている。これらの症例により、香港ではシノバック製ワクチン接種の予約が激減した。
8日午前、香港政府食品・衛生局の陳肇始(ソフィア・チャン)局長と公務員事務局の聶徳権(パトリック・ニップ)局長は、記者会見を行った。シノバック製ワクチン接種後の死亡者の続出について、「接種センターが接種者のカルテを調べることができない、接種前に不安があれば医師に相談すべきだ」と述べた。
同日夕方の記者会見で、香港政府のワクチン専門家委員会召集人である孔繁毅氏は「2例目の55歳女性の死因は急性心筋梗塞であり、検死報告書にはワクチン接種との直接の関係は示されていない、同事件は検視官に依頼した」と報告した。
8日未明に死亡した71歳の男性について、過去に大きな病気がなかったが、数年前に甲状腺の病気を抱えていたとし、同じく検視官に依頼することになるという。
ワクチン接種後、1日で不調を訴えた4人のうち2人が重体でICUに救急搬送されたことに対し、香港大学感染・伝染病センターの何栢良総監は、注目すべきだと考えている。「異常な状況かどうかを把握するにはまだ時間がかかるため、香港政府は中国やマカオの接種手順を参考にし、60歳以上の人には接種を勧めないか、代替案を出すべきではないか」と主張した。
(翻訳・徳永木里子)