英国海軍の「クイーン・エリザベス」空母(Dave Jenkins - InfoGibraltar, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

 北京当局が昨年7月に香港版国家安全法を強行施行した後、英中関係は大きく変化し、もはや以前の状態への回復が不可能となっている。

 英国政府の内部文書によると、中国共産党がもたらした全面的な挑戦をよりよく分析し対応するために、英国政府は中国共産党への対抗策、特にサイバーセキュリティの分野への投資を増やすことに注力するという。

 英国政府は先日の記者会見で、英国海軍の「クイーン・エリザベス」空母戦闘群が今春に太平洋に配備される見通しであることを明らかにした。また、英政府官員は、クイーン・エリザベスの海外配備ルートには、中国共産党が領海としている南シナ海も含まれる可能性があると述べた。

 英国の大手私立学校の少なくとも17校が中国資本により大規模に買収されたという最近のニュースは、英国社会に大きな不安を与えている。中国のある企業は、英国の学校の買収が、北京の世界的な影響力の拡大を目指す中国共産党の「一帯一路」戦略の一環であると公言した。

 ボリス・ジョンソン英首相の弟であるジョー・ジョンソン氏(元BIS大学・科学担当の閣外大臣)が主導した最新の研究報告によると、英国では影響力のある研究プロジェクトの2割以上(約20の研究テーマ)が中国との提携で行われており、科学と技術のテーマが多いという。また、自動化、通信、材料科学などの高感度分野の報告書は、3割以上が英中共同で作成したものである。

 現在の厳しい状況の中で、ジョンソン首相は16日に「冷戦以来最も重要な報告書」を発表することを予定している。同報告書では、EU離脱後(ポスト・ブレグジット)の英国政府の主要な国策を解説し、インド太平洋地域への復帰と中国共産党の脅威に対抗するための民主的な同盟の構築に言及する。彼はまた「英国の外交・防衛・国家安全保障・開発政策について、冷戦終結以来最大規模の評価報告だ」と強調した。

(翻訳・徳永木里子)