死亡した豚 (Screenshot / Tencent QQ)

 中国政府は、9月6日、新たに4件のアフリカ豚コレラの感染が確認されたと報告した。1カ月前にアフリカ豚コレラが発見されて以来、これまで計13件の感染例が確認されている。

 中国の農業部(日本の農林水産省と相当する)は、黒竜江省の佳木斯市(ジャムスし)に所在する3つの小規模農場と、安徽省の蕪湖市(ぶこ-し)および宣城市(せんじょう-し)で感染を確認したと伝えた。最も大きい農場では203頭、小さい農場では30頭の豚が飼育されていたという。この発表に先立ち、中国の農業部は800頭以上の豚が飼育されている安徽省滁州市(じょしゅう-し)の農場の感染例について報告していた。同農場では22頭の豚が死亡し、62頭の感染が確認されたとのことだ。

 豚コレラの流行は他の農場でも確認されており、感染拡大の懸念が高まっている。新たな感染は、すでに感染が確認されている都市の別の農場や、近隣の市で発生している。豚コレラの感染は拡大しつつある。世界最大の豚肉生産地でありロシアと国境を接する黒竜江省の佳木斯市(ジャムスし)から、中国南部にある浙江省の温州市にまで感染が広がっている。

 急速な感染拡大を抑制するため、政府は感染地域からの豚の輸送を禁じた。この措置によって畜産業者たちの仕事が無くなったうえ、現地では農場の豚が繁殖しすぎてしまい、屠殺場が不足する事態になっているという。

 また、豚コレラの感染拡大は豚肉の価格を押し上げている。中国南部では例年、10月の大型連休に備えて豚肉の需要が増加するが、今回は豚肉の輸入量を増やすことで対処できる見込みである。

 現在、ほとんどの感染は小規模な畜産農家で発見されているが、比較的大きな農場でも感染例はある。近年、中国では巨大農場の開発が進んでいるが、こうした農場でも感染のリスクはゼロではないと言えるだろう。ある専門家は、「小規模農場では、通常より低い安全対策しか実施されていないため、コレラの感染に脆弱である可能性が高い」と指摘する。

 なお、豚コレラはダニや動物との接触によって感染する。汚染された飼料や人間を経由して感染することもある。現在、豚コレラに対するワクチンはない。

(翻訳・今野 秀樹)