ロシアの野党指導者であるアレクセイ・ナワリヌイ(ロシア語: Алексе́йНава́льный、ラテン文字表記:Aleksei Navalny)は26日、矯正労働収容所に送られたことが同国刑務当局のトップによって明らかになった。ナワリヌイ氏は同収容所で2年以上服役することになる。
1月18日、ナワリヌイ氏は警察署裁判所の判決により30日間の勾留処分が決定した。米前国務長官のポンペオ氏を始め、カナダと一部の欧州連合加盟国は同事件について非難し、ナワリヌイの釈放を呼びかけた。
ナワリヌイ氏は2020年8月20日、オムスクからモスクワへの飛行機で突然中毒症状を起こし、意識不明だった。国際社会の協力により、ナワリヌイ氏はドイツのシャリテー – ベルリン医科大学(Charité – Universitätsmedizin Berlin)で治療を受け、「ノビチョク(ロシア語:Новичо́к、英語: Novichok)」という軍事用神経剤による化学兵器の襲撃を受けたと確診された。
全治したナワリヌイは今年1月17日、飛行機でロシアに戻り、モスクワ郊外の空港で、迎えに来た支持者の中の58人とともに警察に逮捕された。モスクワ郊外の警察署内に設置された裁判所が18日に、ナワリヌイ氏に2月15日までの30日間の勾留を言い渡した。
ロシアの検察官によると、ナワリヌイ氏は公金の私用による執行猶予中の出頭義務に違反した。一方、ナワリヌイ氏は同控訴に政治的な動機があると主張し、自身の遭遇は「正義への嘲笑を越える」とし、公聴会は「最高級の悪事」とした。
ナワリヌイ氏は警察署から映像を発信し、抗議を呼びかけた。「怖がらず、街に出よう。私のためではなく、あなたたち自身のために、あなたたちの未来のために」と同氏は語った。
ナワリヌイ氏が逮捕された同日、当時の米国務長官のポンペオ氏は強く非難した。「自信を持つ最高指導者は、反対の声を恐れることがなく、反対派に対する暴力や不当逮捕をする必要があると思わないはずだ」とツイッターで述べた。
英外務大臣のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)は、「ロシア当局は、あの被害者を加害するではなく、本土において化学兵器がいかに使用されているかを調べる必要がある」と声明で述べた。
国際連合人権高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights)も、ナワリヌイ氏への逮捕は多くの関心を寄せていると述べ、同氏の釈放を呼びかけた。同所のミシェル・バチェレ(Michelle Bachelet)弁務官は、ナワリヌイ氏の釈放を呼びかけ、化学兵器の襲撃を受けたことに対する公正な調査が必要であるとツイッターで述べた。
また、欧州連合と加盟国であるリトアニア、ドイツ、フランス、イタリアも、ナワリヌイ氏への逮捕を非難し、釈放を呼びかけた。
ナワリヌイ氏の支持者はツイッター上で次のようにつぶやいている。「法廷はアレクセイを監獄に閉じ込めることを決定した。これはロシアに法律がないことを示している。」
(翻訳・常夏)