国際金融協会(IIF)が発表した最新調査結果は、コロナ禍が再び世界債務の圧力に拍車をかけていることを示した。新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の影響を受けて、世界の債務は昨年24兆ドル増加し、過去最高の281兆ドルに達した。
米商務省のウェブサイトによると、2019年の米国の国内総生産(GDP)は21.43兆ドルに達したという。つまり、債務の増加規模が1年間で世界最大の経済大国である米国のGDP総額を上回ったことを意味している。
一方、世界債務残高対世界GDPの比率は355%を超えている。このうち政府は最大の債務者であり、新たな債務の半分以上を占めている。IIFのデータによると、政府債務対GDPの比率は2019年の88%から2020年の105%に上昇したという。その原因は、先進国が昨年相次いで打ち出した大規模な救済策が主な「引き金」となったからである。IIFは今年の初め、特に米国とEUが打ち出した大規模な景気刺激策が世界債務の増加を助長したと指摘した。
様々な景気刺激策は、経済圧力を一時的に緩和する役割を果たしてきたが、財政や予算の不均衡などの課題も生み出してきた。IIFは、今年の世界経済は記録的な巨額の債務を負うことが予想され、回復の見通しに大きな圧力を与えることになるであろう。世界的にワクチンの接種が行われる中、IIFは今年の世界債務の増加が比較的緩やかになるかもしれないと考えている。しかし、ワクチン接種の進捗状況が国によって異なるため、ワクチン接種が遅れた国にとって債務負担が大きくなると予想される。
世界の主要国は、新型コロナウイルスによる不況対策に多額の投資を行ったが、今は、「いつ、どのように資金投入を止めるか」というより複雑な政策選択に直面している。
政府がコロナと戦い、経済を救うべきだが、果てしない借金需要と記録的な債務は、今では持続不可能な道を歩んでおり、やがて対処困難になっていくであろう。
目下、どの国の中央銀行も余裕がなくなっていることを認めたがらない。しかし、残念ながら、先進国の中央銀行はすでにこの状況に近づいている。
政府が導入した救済措置は、世界債務を急増させているが、アナリストは、世界経済がまだ回復していない状況下で、軽率に「措置を撤回」することはできないと考えている。政治的・社会的圧力は、赤字と債務を削減するための政府の努力を制限し、将来の危機への対応能力を危険にさらす可能性がある。
コロナ禍で、各国政府はますます苦しくなり、高く建てられた債務は各国の指導者をいっそう困らせている。
(翻訳・徳永木里子)