バイデン米大統領は7日、米政府が経済制裁を解除した場合に限りイランは2015年の核合意の履行を再開すると表明したことに対し、経済制裁を取り消すことはないと強硬な態度を示しました。しかし、15日、20日と22日にイスラム教シーア派の民兵組織によるイラクの米軍基地への攻撃が相次ぎ、バイデン政権は18日、核合意への復帰に向けて、イランに対する制裁措置の一部緩和を決めました。

 米国務省のネッド・プライス報道官は18日、欧州連合(EU)の招待を受け入れ、核合意当事国の米英仏独露中6か国とイランの談判に出席すると発表しました。2015年に核合意が達成され、イランが核開発を制限する代わりに、米欧は経済制裁を解除しました。しかし、2018年にトランプ前政権は核合意から離脱し、イランに対する経済制裁を全面回復しました。

 今回、米政府は書面で国連安全保障理事会に、昨年9月にトランプ前政権が提出したイラン制裁措置に関する文書を撤回するとしました。書面では「国際社会のイランに対する制裁措置は連合国2231号決議案によって取り消されたため、トランプ前政権が昨年9月に発表した新たなイランへの制裁措置は無効となる」と述べました。

 バイデン政府はさらにイラン外交関係者への制限を緩め、ニューヨーク及び周辺地区での自由な活動を許可すると発表しました。トランプ前政権では、すべてのイラン外交関係者はニューヨークの連合国本部及び付近のいくつかの通りしか利用できず、ケネディ空港からニューヨークまでの往復路線まで明確に規定されていました。

 15日、イラク北部クルド自治区アルビルの米軍駐留拠点の周辺にロケット弾攻撃があり、ロイター通信によると、米兵1名と米軍施設の請負業者5人が負傷し、請負業者が1名死亡したといいます。米兵ら少なくとも8人が負傷したという情報もあります。

 20日、イラク中部のバラド空軍基地にロケット弾数発が撃ち込まれ、米軍施設の請負業者が1人負傷しました。

 22日、イラクの首都バグダッドにある米国大使館近くに、少なくとも2発のロケット弾が撃ち込まれ、死傷者は出ていません。

 同国の米国関連施設は過去にもしばしばイランと連携するイスラム教シーア派の民兵組織による攻撃を受けてきています。そのため、トランプ政権は数回シーア派組織を攻撃すると命じ、さらにイラン軍の司令官ガーセム・ソレイマーニー氏を暗殺することに成功しました。

 トランプ氏は「2015年の『核合意』はイランに核兵器を発展させるたための『カバー』に過ぎない」と考え、経済制裁と軍事圧力で核放棄をイランに迫り、窮地に陥れました。トランプ氏がホワイトハウスを去ってから、イランはバイデン政権に制裁措置の撤回とトランプ氏による損失への補償を求めました。

【編集・制作】Visiontimesjp News