カナダ西海岸にあるブリティッシュコロンビア州政府と成人教育局はこのほど、 同州にある公立高等教育機関 ジャスティス・インスティテュート・オブ・ブリティッシュ・コロンビア(JIBC)が7年間実施していた中国人警察が大半を占める「国際プログラム」を見直すと発表した。
カナダ情報通信会社「グレイシャー・メディア(Glacier Media Inc.)」の記者グレアム・ウッド氏は、同プログラムの起源の詳細を明らかにし、カナダの価値観に反し国家安全保障への懸念を疑問視した調査報告書を発表した。
JIBCが提供する同プログラムは、主に各種の警察職員を対象とする研修や、消防、救急、司法制度、地域保健などの研修プログラムが含まれている。
ウッド氏によると、JIBCの国際プログラム収入は2013年の年間60万カナダドル(約5千万円)から2018年の230万カナダドル(約1億9千万円)に急増したが、一方で留学生の人数はその間6倍近く増えた。そのうち、重要な収入源となっているのは中国共産党公安部からの受講者であることが明らかになった。
JIBCは中国警察学校からの士官候補生を訓練するためのプログラムを制定し、2013年から2014年にかけて、300人以上の中国共産党幹部候補である中国人受講生を受け入れ、短期訓練を行った。現在まで約2000人の中国人受講生が訓練を受けていた。
JIBCのミシェル・タルコ院長は「同プログラムは中国人受講生にカナダの刑事司法制度を触れさせ、異なる法律執行制度で彼らの視野を広げるために制定された」と説明している。しかし、有罪判決率が99%を超える中国の司法制度や、新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害について、タルコ氏は知らないとし、コメントを控えた。
これに対し、元カナダ政府安全情報局アジア太平洋地区チーフのミシェル・ジュノ―・カツヤ氏は「タルコ院長の発言は天然もしくは愚かに聞こえるが、国民は騙されない。中国共産党の司法制度や警察制度は、同プログラムに影響されるどころか、かえって中国共産党の司法力の助長になっている。これはカナダの恥に他ならない」と述べた。
同氏は続けて、「情報機関の角度から見れば、最も危険なのは、これらの中国人受講生が情報を収集し、受講中に接触したすべての教官やカナダ人の個人情報及び彼らの中国共産党に対する考えについて、密告される可能性があることだ。受講期間に、バンクーバーなどの警察署で研修し、現場でカナダ警察の業務活動を理解する機会が設けられていることも、将来カナダの司法に対する武器にもなり得る」と述べた。
ブリティッシュコロンビア州のサイモンフレーザー大学に勤めている犯罪学の教授であるロブ・ゴードン氏は「中国共産党が様々な人権侵害を行っていることに対し、カナダ人は考え方を改めなければならない、中国共産党の味方になっていけない」と述べた。
(翻訳・徳永木里子)
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