トランプ前大統領は任期を終え、ホワイトハウスを去りました。彼の過去4年間で最も大きな功績は、中国共産党(以下、中共)の仮面を外し、その正体を暴いたことです。また、トランプ前大統領は中共を排除する全面的な戦争を始め、有効な打撃を与えて中共の世界的支配を大きく弱体化させてきました。
「中共撲滅政策」による打撃
半世紀以上前、当時のニクソン元大統領が中国と反ロシア同盟を結ぶ戦略を打ち出してから、米国が中国と友好関係を築き、親中政策を実施してきました。1991年末にソビエト連邦が崩壊し、米国が実質的に世界を支配するようになってからも、「中国の経済改善を支援すれば、中国は自然と民主化へと向かう」という考えのもと、宥和政策を取っていました。そのため、過去数代の米国大統領は中共を支援してきました。
1989年に六四天安門事件が発生し、世界中を驚かせました。米国は一連の制裁措置を実施しましたが、1ヶ月足らずでブッシュ元大統領は中共をなだめるために北京に特別使節を派遣し、3ヶ月以内にすべての制裁が取り消されました。クリントン政権時代、中国は米国から重要なミサイル技術を入手し、軍事力を発展させました。2001年、中国はブッシュ・ジュニア元大統領の協力の元で世界貿易機関(WHO)に加盟し、その後毎年巨額の外貨を稼ぎ、経済大国に上り詰めました。オバマ元大統領は中共に対して更に弱腰で、あらゆる面で中共の米国への浸透を許してきました。多くの中国人留学生がハイテク技術を盗むために、アメリカの大学や研究機関に赴きました。社会主義理念の宣伝と共産専制体制の利点を広げるために、米国の各大学に孔子学院を設立しました。さらに甚だしいのは、米国政府の一部の高官が中共に誘惑もしくは買収されていることです。その中で最も注目すべきなのは、バイデン元副大統領の息子が中共から大量の資金を受け取ったことです。
2017年にトランプ前大統領が就任した後、宥和政策は大きな間違いであると米国人に教えました。中国は経済が大幅に改善し、世界第2位の経済大国になってからも、民主化に向かったのではなく、より独裁的で残虐になりました。トランプ政権は更に、世界の覇権国として米国に取って代わり、世界を支配しようとする中共の野心を明らかにし、「中共は米国の敵である」と明確に表しました。米国の対中政策も根本的に転換されました。
トランプ前大統領は2018年に米中貿易戦争を発動し、中国へのハイテク製品の輸出禁止、米国企業の中国離れを促し、人権侵害した中国当局者への制裁、軍事的背景を持つ中国人留学生を米国から立ち去らせ、多くの中国人スパイの逮捕、米国に上場している中国企業に米国の会計規則を遵守するよう厳しく命じるなど、中共を制裁する一連の措置を始めました。国際では、トランプ氏はインド太平洋戦略を打ち出し、日本、オーストラリア、インドに、米国と同盟を結ぶよう呼びかけ、中国に対し大きな包囲網を形成させました。これらの措置は中共に深刻な打撃を与え、その国力を大幅に低下させ、悪事を働く能力を弱めました。
数十年ぶりに急成長する経済
トランプ氏が就任すると、すぐに米国を第一とする政治立場を表明し、彼のリーダーシップの下で、完全にアメリカ人労働者の福祉を中心とした新しい経済政策を採用し、減税や規制緩和などの措置を通じて雇用と賃金を増やしました。新型コロナのパンデミックまでは米国は力強い経済成長を遂げ、非常に低い失業率でありながら、賃金と家計の純資産は上昇しつつありました。このような好景気は、1950年代以来です。
中東の平和促進に画期的な貢献
昨年9月15日、トランプ前大統領はホワイトハウスでイスラエル、バーレーン、アラブ首長国連邦の代表に面会し、国家正常化に関する協定への署名を促しました。この行動は、中東の平和に画期的な進展であり、歴史的なマイルストーンです。トランプ氏は「より多くの国がフォローアップし、さらなる平和発展につながるでしょう」と述べました。その後、トランプ氏は10月23日、スーダンとイスラエルとの国交正常化が確立したと発表しました。将来的には、さらに多くのアラブ諸国がイスラエルとの和平合意に達し、徐々に中東の平和という目標に向かって進むことが予想されます。
1948年に建国されたイスラエルは、アラブ諸国との間で戦争状態が続きました。アラブ諸国はイスラエルを排除することを誓い、イスラエルは自らを守り、両者の敵対関係は2000年以上もの歴史があります。偏見を解消し、平和で安定した関係を築くことはほぼ不可能です。しかし今、トランプ氏が双方の平和共存を促進するための第一歩を踏み出しました。これは外交分野におけるトランプ氏の大きな成果であることは間違いありません。
邪魔者からパートナーとなった台湾
米国がロシアに対抗するために中国と同盟を組み、中共に対して友好的な態度を示したとき、台湾と米国の関係は厄介な状況に陥りました。米中関係が促進される度に、台湾はしばしば邪魔者扱いされます。一部の極端な親中者は台湾を非難しています。2011年11月、オバマ政権の間に、ニューヨーク・タイムズは「中国による11.4兆米ドルの米国債務の取り消しと引き換えに、米国は台湾の防衛を終了し、台湾への武器販売を停止しても良いです」と提案しました。さらに、ウィキリークスによると、当時の国務長官だったヒラリー・クリントン氏は「いいですね、これは非常に賢い取引だと思います。話を進めましょう」と答えたそうです。米台関係がいかに険悪だったかが伺えます。
トランプ政権になってから、状況は急速に改善されました。まず、トランプ前大統領が就任前に蔡英文大統領と通話したことが国際的に注目を浴びました。当時、台湾について全く知らない人も多く、多くの人がネットで台湾を検索しました。トランプ氏が大統領に就任した後、台湾とより緊密な関係を確立しながら中国共産党に打撃を与えました。国防に関しては、トランプ氏は4年間の在職期間中に140億ドル以上の武器を台湾に売却し、オバマ元大統領の8年間の合計を上回っています。トランプ氏が承認した兵器には、「リーパー」ドローン(MQ-9)、F16-V戦闘機、ハープーンミサイルやその他のハイエンド新型攻撃武器が含まれ、台湾の自衛能力を効果的に高めました。さらに、米国国家安全保障文書が最近、30年前倒しに機密解除されたことにより、トランプ政権のインド太平洋戦略が明らかになりました。台湾が第一列島線のパートナーとしてリストアップされ、米軍の守るべき対象の1つとなっています。これは、トランプ大統領が台湾の安全を懸念していることを示しています。
経済面では、台湾の世界最大の専業半導体ファンドリーTSMCは昨年5月に、米国アリゾナ州に5ナノメートルのチップ工場を設立すると発表しました。この動きにより、台湾の他のメーカーが米国に工場を設立することを促します。一方で、アップル、グーグル、マイクロソフトなどのアメリカの大手テック企業も台湾に工場を設立し、マイクロソフトは台湾に初のデータバンクを設立する予定です。これは、米国と台湾の間で大規模な経済交流を進めていることを示しています。外交面では、ポンペオ米国務長官が辞任する前に、米国の行政部門と台湾政府高官との接触規制をすべて解除すると発表しました。かつて米国が中共のために設けた制限がついに解放され、両国政府が公開的にコミュニケーションを取ることができ、米台関係の正常化につながりました。
トランプ前大統領の歴史的位置づけ
上記の論述を踏まえて、トランプ前大統領はレーガン元大統領に次ぐ最も大きな成果を上げた大統領です。レーガン元大統領はソビエト帝国崩壊を促した重要な人物として認められており、トランプ大統領も中共政権を崩壊させる重要な人物として位置づけられるでしょう。さらに、トランプ大統領の台湾への配慮は目に見えており、台湾に対して史上最も友好的な米国大統領です。
(文・李木通/翻訳・神谷一真)
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