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 中国メディア「半月談」によると、四川省徳陽市管内の綿竹市(めんちくし)、什邡市(しゅうほうし)などで、化学企業が集中していることで、重金属カドミウムにより耕地汚染が深刻化しており、カドミウムが基準値を超える有毒米の現地生産が近年、地元住民の問題となっているという。

 「半月談」によると、最近中国の米価は高止まりが続いており、四川省徳陽市では普通の米より安い有毒カドミウム米が品薄状態になっているという。最も安い米は1トンあたり4250元(約7万円)で、有毒米は1トンあたり3600~3700元(約6万円)しかかからない。

 情報筋によると、徳陽市で過去2年間、有毒カドミウム米事件が多発しており、米に含まれるカドミウムの量はばらつきがあるという。2つの米のサンプルを第三者検査機関で重金属検査したところ、以下のことが判明した。1つのサンプルのカドミウム含有量は0.26mg/kgであり、もう1つは0.379mg/kgである。それぞれ0.2mg/kgの中国国家標準に比べて、30%と90%を超えていることがわかったと、報道が述べた。

 カドミウムは体内に入ると人体に非常に有害な重金属元素であり、腎臓や骨にダメージを与える。化学会社がカドミウムを含む汚水を近くの水田に流していることが、米に含まれるカドミウムが基準値を超えている主な原因である。中国の四大リン酸化学工業清算基地の一つである徳陽市は、地元の耕地の汚染がかなり深刻である。

 2018年から2020年にかけて、徳陽市政府は重金属過剰の米を大量にリコールしたが、市場にまだ有毒カドミウム米が大量に出回っていた。「半月談」の記者は、穀物農家、穀物商人、加工工場、酒造工場、流通業者などは有毒カドミウム米で利益を得ていることが分かった。国有穀倉も不適切な利益を求めてこれに関与している可能性がある。

 情報筋は「半月談」が伝えたところによると、通常、有毒カドミウム米を購入したい加工工場や販売業者は、リスクを回避するために、酒造工場の助けを借りて醸造原料を購入する理由として買い求めているという。注目すべきことは、徳陽市の複数の穀物商人が、有毒カドミウム米の出荷先が主に国有穀物備蓄地であることを明らかにした。

 ネットユーザーは、湖南省の重金属米は四川省よりも深刻だと指摘している。いくつかの地方で「有毒米」が大量に出現し、その危険性は全国に広がっている。

 この事件に対して、中国中央テレビ(CCTV)はまた、専門家のアドバイスを引用し、「一カ所で生産された食品を長期間にわたって食べてはいけない。リスクを減らすためにできるだけ分散したほうがいい 」としている。

 一方、ネットユーザーより専門家の発言に強い不満の声が上がった。
 「CCTVの専門家は、有毒米の排除を管理する方法をアドバイスするのではなく、常に違うブランドの有毒米を食べることを提案した。言うことがない。」
 「専門家は全種類の有毒米を食べてくれということだ。」
 「有毒米だと知っていながら、そんな穀物を市場に出して、国民に食べさせた。この国にはまだきれいな穀物があるのだろうか。」

(看中国記者・丁暁雨/翻訳・徳永木里子)