ホワイトハウスによると、バイデン大統領は26日、ロシアのプーチン大統領と会談し、双方は「新戦略兵器削減条約(新START)」の5年間の延長を約束した。トランプ前大統領が2020年にロシアと交渉して軍備管理条約を米国に有利に機能させようとしていた努力は、水の泡となった。
米露間の「新START」は2月5日に期限切れとなり、バイデン、プーチン両氏は更新に向けた準備を2月5日までに完了させることで合意した。
オバマ元大統領とロシアのドミートリー・メドヴェージェフ元大統領が2010年に署名した新STARTは、各国が配備する戦略核弾頭の数を1550個に、ミサイルや爆撃機の数を700個に制限することを求めた。
条約締結後、ロシアは、無制限の射程を持つ核ミサイル、大陸間弾道ミサイル「サルマト」、極超音速滑空機「アバンガード」など、米国のミサイル防衛に深刻な課題となる複数のミサイルの開発と配備を発表した。
米国はロシアが条約の条項に違反していたと非難した。トランプ前米大統領は、新STARTはオバマ政権が残した「悪い取引」だと繰り返し発言しており、明らかにロシアに有利な条約であることから「一方的なもの」と見なした。
また、トランプ前大統領のもとで、米国は2019年8月、ロシアとの31年に及ぶ「中距離核戦力全廃条約(INF)」から正式に離脱した。トランプ氏はINF条約が米国に有害であり、米国の中距離ミサイル開発を縛っていると見ており、一方でロシアの隠密開発や中国共産党の積極的な開発が米国とその同盟国にとって脅威となっている。
米露がINF条約から脱退した後、新STARTは2国間に残る唯一の核軍備管理協定である。
トランプ前大統領は新STARTの延長を1年だけ提案していたが、軍備管理条約の対象にならない中国を引き入れることを申し出て、戦場の核兵器の制限を盛り込んだ再交渉を望んでいた。しかし、中国共産党は参加を拒否した。
バイデン氏は選挙運動中に、オバマ政権で副大統領在任中に交渉したものなので、新STARTを維持すると言っていた。
同条約の延長は米国では議会の承認を必要としないが、ロシアでは議会の承認を必要とする。ロシア側はすでに、今週中に条約延長に必要な法的措置を完了させるために、これを議会へのファストトラックに乗せると述べた。
(翻訳・徳永木里子)
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