近日、習近平氏は中国共産党中央規律検査委員会の会議で、汚職が最大の脅威だと認めた。中国共産党(略称:中共)の機関紙は23日に、「政治腐敗は最大の腐敗」だと述べ、腐敗利益集団を結成した一部の人が国家権力を盗み取ろうとしていると非難した。これは中国共産党の内部闘争を暗示していると分析した人がいる。
中国共産党中央規律検査委員会3日続いた会議は1月24日に終了し、習近平氏を含む7名の中共政治局常務委員が会議に出席した。習近平氏は司法システムや民生領域の腐敗、貧困撲滅、食料品浪費などの問題に言及し、腐敗が党内最大の脅威だと認め、規制を強化しなければならないと述べた。
金融領域の反汚職は今回の会議の中心である。習近平氏は、金融業の監督を強め、各階級の指導者が家族や身内の人に対しても厳しくコントロールしなければならないと述べた。
1月23日、中共機関紙である新華社通信は、『習近平氏が1か月に3回「政治三力」に言及』というタイトルの記事を掲載した。記事の最初には「負けてはならぬ戦い」とし、「一部の腐敗分子は深く隠れており、偽装に長けて、うわべでは服従しながら陰では背いている」と書かれている。また、「政治腐敗は最大の腐敗である」、「一部の腐敗利益集団を結成した一部の人が国家権力を盗み取ろうとしている」と指摘した。
これに対し、時事評論家の周暁輝氏は、習近平氏のこれまでの話と異なっているのが2か所あると分析した。一つは、2020年を振り返ったときに、反汚職について「政治問題と経済問題が絡んだ腐敗案件に焦点を絞るべきだ」と言及した。さらに「党への忠誠を果たさず、うわべだけ従って裏では反対の両面者を厳しく取り締まる」とした。もう一つは、習近平氏は腐敗と政治安全をリンクし、「腐敗は中共執政の最大のリスクであり、今政府にはまだ大量な腐敗現象、政治問題と経済問題が存在し、中共の統治を脅かしている」と述べた。
習近平氏は中共第十八回全国代表大会で権力のトップに立ち、まず反腐敗運動で権力を固め、第十九回全国代表大会では習近平思想を党章に書き入れ、次年度には憲法を修正して、一党制から一人制への変化を遂げた。しかし、その後の一連の出来事は、習近平氏を苦境に陥れた。例えば、米中貿易戦で挫折を受けたこと、2020年の武漢肺炎(新型コロナウイルス、COVID-19)のパンデミック化により多くの国に責任を追及されたこと、香港版国家安全法を推進し反発されたこと、国内経済の不景気などが挙げられる。ひいては、去年共産党内部者が習近平氏の退去を求めた。
時事評論家の章天亮氏は、「政治腐敗とは『中央政権を勝手に議論すること』や『政治において間違った立場に立つこと』などを指している。党機関紙の記事では、中共が反対しているのは経済腐敗ではなく、政治腐敗であると明言している。つまり、反腐敗を利用して政敵を打撃することだ。また、外部からの圧力が軽減されると、中共は厳重な内部闘争が起きる可能性がある。バイデン氏が大統領に就任してから、米国の中共への制裁が緩まるが、中共の内部闘争の激化につながる」と述べた。
評論家楊威氏は1月24日『大紀元』に掲載された文章で、習近平氏が機関紙に党の内部闘争を公開させていることは珍しいと述べた。
楊威氏は「習近平氏が中央規律検査委員会の開催をちょうど米国次期大統領の就任後で、二大会の前という時間をあえて選んでいる。1月11日、習氏は突如、時勢が有利であると述べた。彼にとって外部の圧力よりも内部の問題がもっと致命的なようだ。中共機関紙がこれだけ内部闘争の対象者をリストアップして公に晒し、政敵への警告を発したことは、中共内部闘争の白熱化の程度を表している。中共内部でどれほどの人が『うわべだけ服従しながら陰では反対している』のか、一人二人ではないはずだ。でなければこれほど大々的に宣伝する必要がない」分析した。
2021年に入ってから、中央規律検査委員会は11日間で7名の中央政府当局者の処分を通達した。そのうち6人が政治規律違反である。楊威氏は、「これは習近平氏へ逆らっている人が大勢いることを示している。2021年の最初の月で処分するのは見せしめの意味が込められている」と話した。
(看中国記者・苗薇/翻訳・北条)
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