1月19日、イギリスの独立系テレビ局ITVはドキュメンタリー番組「アウトブレイク:世界を震撼させたウイルス」を放送した。 ドキュメンタリーでは、武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)の発生当初に人から人に感染したことがわかったが、中国共産党当局によって黙秘されていたことを、武漢の医師が確認した様子が映し出されている。
ドキュメンタリーの素材は、武漢の閉鎖が解除された後、ITVの記者が秘密裏に武漢に入って撮影したものである。 ドキュメンタリーでは、ある武漢の医師は実際に、知っている親戚が12月下旬か1月上旬にウイルスで死亡したと言った。 亡くなった方と同居していた方のなかには、知り合いの方も含めて多くの人々が感染していた。もう一人の医師は、人から人への感染に疑いの余地はないと言った。
他の医師は人から人に感染するウイルスであることを知ったが、病院の会議で、医師は公開しないように求められたことを明らかにした。地方の指導者は病院に真実を言わないように言った。
当局は1月の新年の祝賀会が「ウイルスの拡散を加速させる」ことを知ったが、そのようなイベントは「調和的で豊かな社会」を表現するため、通常通り開催されたと、医師らは述べた。
ドキュメンタリーはまた、1月5日から1月17日までの間にウイルスが蔓延していたことを明らかにしたが、共産党政府はこの12日間に新たな感染者を公式に報告していなかった。
ドキュメンタリーでは、感染症の発生について多くの感染症学者のインタビューも収録された。 感染症の専門家であり、台湾疾病管理署の副長官でもある羅一鈞氏は、中国共産党の初期管理は混乱していたと述べた。 中国共産党が最初に発生について透明性を持ち、必要な情報を迅速に世界に提供していれば、この流行は避けられたと述べた。
台湾感染症医学会会長の荘銀清氏にもインタビューを行った。荘氏は流行が始まった当初に武漢を訪れたことがあり、現地に到着しても明確な答えを見つけられなかった。ある会議で多くの質問をされ、現地の医療スタッフが「限定的に人から人への感染は否定できない 」としぶしぶに答えた。
中国共産党は当初、1月20日に鐘南山氏の口から「人から人への感染」を認めるまで、人から人への感染に関するニュースを曖昧にし、軽視していた。その2日後、武漢は世界初の都市閉鎖を経験した。その閉鎖は76日間続いた。
武漢の医師は、感染の発生を隠す命令が地方の指導者から来たことを明らかにしただけでなく、当時の武漢市の周先旺市長も昨年1月27日の中国中央テレビジョン(CCTV)のインタビューで、「地方政府として、承認を得られてから情報を開示できる」と述べた。つまり、情報をタイムリーに開示しなかった責任は中国共産党の上層部にあるということを暗示した。
(翻訳・徳永木里子)