2020年9月4日自殺した内モンゴル自治区アラシャン盟のモンゴル族公務員・蘇日娜(ソジナ)(イメージ:南モンゴル人権情報センター)

 中国共産党(以下、中共)は昨年秋から内モンゴル自治区で中国語教育を強化し、大規模な市民の抗議を引き起こしても、なお更に漢民族化のペースを加速させていた。最近のニュースで、当局は、モンゴルの郷土史に関する小中学校の教科書への「イデオロギー検閲」を命じ、一部の教科書の使用はすでに禁止されている。

 内モンゴル自治区教育局が出版社に送った公文書によると、同局は国家教科書委員会の指示により、2020年秋に地域全体の小中学校の地方教科書と補助教科書に対して「イデオロギー特別検閲」を行ったという。『内モンゴル史と文化』、『モンゴル史』、『フルンボイル史と文化』、『河套(かとう)史と文化』、『ホルチン史と文化』などの教科書を再調査したという。

 同公文書によると、上記の教科書には「共通認識が不十分」で、個々の「民族的アイデンティティ」や「民族意識」などを意図的に強調しているという。そこで同庁は、今年の春学期から『内モンゴル史と文化』、『モンゴル史』、『河套史と文化』などの教科書の使用を中止し、秋学期から『フルンボイル史と文化』、『ホルチン史と文化(試論)』の使用を中止することにした。

 公文書の日付は2021年1月8日である。

 当局は昨年7月と8月から、内モンゴル自治区内の小中学校に対して、言語、歴史、政治の科目で全国統一の教科書を使用し、中国語で授業を行うことや、モンゴル語をコアカリキュラムから外すことなど、いわゆるバイリンガル教育改革を要求してきた。

 これはかつて、地元で大規模な抗議デモを引き起こし、国際的な注目を集めた。しかし、当局は漢民族化のペースを緩めておらず、昨年年末以降、小学校3年生からモンゴル語授業を終了し、「全部中国語」の授業に変更するよう命じていた。また、2021年から、内モンゴルの文化部門や学校の党書記などをすべて漢民族を就任させ、内モンゴルTVのモンゴル語チャンネルにも中国共産党の歴史などの番組を追加することを要求している。

 ラジオ・フリー・アジアによると、以前、ドイツに住んでいた南モンゴル議会の席海明議長は、中共当局によるモンゴル族に対する明らかな文化的抹殺政策であり、「非常に野蛮な民族同化の政策」を実行しようとしており、当局は今、全く隠蔽することなく、これまで以上に直接的に行っていると指摘した。「 他民族の文化を同化して全滅させることは、人類の文明を踏みにじる挑戦であり、私たちモンゴル人は必ず最後まで抵抗する。国際社会が、21世紀の世界で古代の民族文化が消滅したことを黙って見守ることのないように注目してほしい」

(翻訳・徳永木里子)

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