昨年5月にオーストラリアが新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID-19)の発生源について国際社会に独立調査を呼掛け以来、中国共産党政権は激怒し、オーストラリアの石炭輸入停止など貿易報復を続けている。
石炭はオーストラリアの経済命脈と見なされており、中国の「石炭禁止令」は豪州石炭業に打撃を与えている。北京の禁止令により、少なくとも82隻のオーストラリア産石炭ばら積み船(合計800万トンから1000万トンの石炭)が中国の港で滞留させられ、船には1500人以上の乗組員も港で数ヶ月間閉じ込められた。
しかし同時に、石炭火力発電に大きく依存している中国でも、深刻な電力不足が発生している。
中国は世界トップの石炭消費国で、2019年には原料炭の輸入量の40%以上、電力用石炭の輸入量の約57%がオーストラリアからのものとなっている。統計によると、オーストラリアは昨年、中国に104億ドル近くの石炭を輸出した。2020年中国は、今年の最初の3四半期に累積で2億トン近くの石炭を輸入し、2019年の総輸入量の約80%に相当する。
「中国華電(CHD)」の取締役によると、オーストラリアの石炭は他の品種よりも効率が良く、多くの地方の発電所がオーストラリアの石炭に依存しており、他の代替品を探すのが難しいという。中国の多くは石炭火力発電に依存しており、現在のオーストラリアに対する石炭禁輸の報復措置によって、発電する石炭が不足している。
冬に入ってから、浙江省、江西省、湖南省、広東省などの省で局地での停電や制限に続いて、北京と上海の一部の地域でも相次いで停電が発生した。中国ではここ数年、これほど広範囲に停電が発生したことはなかった。中国の少なくとも4つの省とその他の省の数十の都市では、すでに電力消費に関する新たな規制が発令され、住民や企業の電力をカットしていると報じられている。一方、中国の一部の地域の人々や企業は、寒い冬の間、断続的な停電や高い暖房費を負担させられている。
従って、中国によるオーストラリアの石炭輸入停止は、オーストラリアの経済に打撃を与えたが、自国の利益にも大きなダメージを与えることになっている。
(翻訳・藍彧)