習近平国家主席とジェイコブ・ズマ南アフリカ大統領(イメージ:ロシア大統領府)
中国政府はアフリカへの多額の援助を行っているが、その額の大きさや、国民の税金が国民のために使用されていない実態に批判が巻き起こっている。
中国政府はアフリカ人を支援するのか、それとも中国人を支援するのか?
中国では1億人に近い人が1日1ドル未満の生活費で暮らしていると言われている。こうした状況を踏まえれば、政府の優先事項は貧困にあえぐ自国民の救済であると考えるのが自然だろう。しかし、中国政府は自国民でなくアフリカ諸国への援助に数十億ドルを拠出してきた。こうした実情が報道され、中国人は「なぜアフリカ大陸にそのような多額の援助を提供するのか」と疑問を呈している。
この問題は中国の一般市民の間で大きな話題となっていたが、特に2013年に発生した四川大震災の直後には熱く議論された。人々は「地震被災者を支援するために、政府は海外援助プログラムの資金を使うべきだ」と提案した。英ガーディアン紙は、中国人SNSユーザーの次のようなコメントを伝えている。
「今年はアフリカの兄弟たちに支援するべきではない。まず(中国政府は)四川省に寄付するのが先だろう」
また2011年には、1人当たりGDPが中国より高いマケドニアに対して、中国政府が23台ものスクールバスを贈ったことに市民の怒りが沸騰した。
一方の中国政府は、アフリカへの援助に関して、それがいかに「中国の良好な国際的イメージ」、「アフリカ大陸における影響力」、「資源の安全保障」に貢献しているかなど、メディアを通じて絶え間ない宣伝活動を続けている。しかし多くの中国人は、まず自国の人々を貧困から引き離すことが政府の役目であると強く感じている。
中国が仕掛ける買収の背後にある計画とは?
先進主要国の指導者らは、アフリカにとって中国の援助は危険であると指摘している。オバマ米大統領はアフリカの指導者に対し、中国政府から援助を受ける際には非常に注意するよう警告していたという。しかし多くのアフリカの指導者らはそのような警告を無視し、中国からの投資受け入れを選択した。
ワシントン・ポスト紙は、セネガルのアブドゥライ・ウェイド大統領の2008年の発言を次のように紹介している。
「中国は、アフリカ諸国によるインフラ構築(橋・道路・学校・病院・空港など)を手助けしてくれた。もし世界銀行とこうした交渉をしたなら5年は必要だっただろう。しかし中国政府との交渉にはたった3か月程度しか掛からなかった」
ある政治専門家は次のように意見を述べている。
「困窮した国民を多数抱えるアフリカの指導者らは、中国との合意が長期的には中国を利する契約であるとわかっていても、支援を受け入れざるを得ない。このようなアフリカ諸国にとって良い教訓となるのがエクアドルの例だ。
中国政府は2009年以来、エクアドルに巨額の援助を行ってきた。その結果、エクアドルは70億ドルもの負債を有しており、これは国内総生産(GDP)の約10分の1にも達する。アフリカ諸国がエクアドルのような立場に置かれることを望んでおらず、既に中国からの恩恵を受けてしまっているなら、中国の援助の裏にある意図に注意を払うべきだ。
また中国政府は、アフリカに対する多額の援助が中国人を激怒させる前に、中国国内で苦しむ何百万人もの貧困者に対し適切なケアを実施すべきだ」
(翻訳・今野 秀樹)