アリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏が、「アフリカのビジネスヒーロー」というアフリカの企業家を応援するテレビ番組から突然に姿を消してから2ヶ月が経った。これにより、馬氏はボーダー規制されたか、外国に旅立ったかと噂されている。

 馬氏が10月24日に上海陸家嘴で開催された金融フォーラムの講演で中国共産党(以下、中共)の規制や国有銀行を批判した後、香港で予定されたアリババ傘下の「アント・グループ」の上場は一時中断された。それ以来馬氏は公の場から姿を消し、テレビ番組「アフリカのビジネスヒーロー」にも欠席している。馬氏の行方に注目が集まっている。

 馬氏は2020年8月、テレビ番組に出演した20人の起業家を祝福するコメントをしていた。彼らに会うのを楽しみにしていると語った。アリババグループの広報担当者は、「スケジュールの都合上、馬氏は2020年の「アフリカのビジネスヒーロー」の最終審査委員会のメンバーになることができなかった」と主張した。

 「アフリカのビジネスヒーロー」での馬氏の席は、アリババ幹部のルーシー・ペンが獲得した。同番組の出場者が「馬氏は中国でどうかしたから、(ルーシーが)ここにいます」と言った。

 馬氏が昨年10月24日の上海で金融フォーラムの演説で、中共の金融規制システムを批判したことは、習近平氏が率いる中共中央政治局を激怒させた。習氏が自ら「アント・グループ」の香港上場の停止を命じた。

 馬氏が急速に事業を拡大しているのは、江沢民元中共総書記の家族と密接なつながり、政治的なコネがあるという分析されている。

 2020年12月24日、中国のポータルサイト「網易」では、「暗夜研究室」というWechat(ウィーチャット、微信)公式アカウントが「突発、馬雲はボーダー規制されたか」と題した記事を掲載した。ブルームバーグによると、馬氏は、アリババグループが中共の規制当局の監視下に置かれているため、中国に留まるよう求められているといった。馬氏のようなビジネスマンにとっては、実質的なボーダー規制であると報じた。

 また、記事では「考えてみれば、馬氏のボーダー規制はトップボスが命じました」と強調した。

 台湾の時事解説番組「クリティカルモーメント」(Crucial Moment)では、馬氏が深圳から香港に駆けつけ、シンガポールに飛んだ後、姿を消したという中国からの噂を引用した。馬氏はセントクリストファー・ネイビス連邦のパスポートを持っている。

(看中国記者・狄源徳/翻訳・徳永木里子)