中国では最近、武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)の本土症例が相次いで報告された。 注目すべきことは、中国の伝染病予防の専門家である鐘南山氏が先日のセミナーで、武漢肺炎はもともとヒトからヒトへの感染だったが、現在は「環境からヒトへ感染」という新たな問題が浮上していることを示唆した。 一部のコメンテーターは、鐘氏の発言は、国内の流行が制御不能に陥っていることを示唆していると考えている。
中国国内メディア『大洋網』によると、鐘氏が12月19日の医療学術会議で、ウイルスはもともとヒトからヒトへの感染だが、現在は「環境から人へ」感染することが新たな問題となり、その感染経路の法則はまだ始めていないと述べた。また、同氏は中国でウイルス流行の予防・抑制には、海外輸入例と「環境からヒトへ感染」という2つの大きなリスクがあると主張した。コールドチェーンのパッケージにあるウイルスが人に感染するかどうか、ウイルスに感染するまでのウイルスの濃度はどのくらいなのか? ウイルスは何日まで生き残れるのか?
また、鐘氏は「冬から春にかけてはインフルエンザのシーズンであり、正確な判断と診断を行うために医師への要求が高くなる。 例えば、インフルエンザの患者は、発熱、鼻水、疲労、筋肉痛などの症状が現れ、武漢肺炎の症状に非常に似ている。 少しでも油断できないので、診断の難易度も上がった」と述べた。
鐘氏の発言について、国際問題を取り扱う『世界の十字路』という番組の司会者唐浩氏は『看中国』とのインタビューで、「9月20日に鐘氏が今年の冬から来春にかけて流行が続くと発言しており、上海の張文宏医師も流行の第二波は避けられないと発言しているたが、実は中国共産党(略称:中共)が世論の敷石を作っているのだ」と言明した。
「中共当局は中国の流行が全く消えていないこと、また冬には新たなピークが訪れることをよく知っている。今、鐘氏が『環境から人へ』という新たな論調を投げ出したことで、国内の流行はかなり広範囲に広がっており、中共はもう他国のせいにすることすらできないことを意味する。同時に、最近の中国全土での流行は、当局の予想を超えてかなり急速に広がっている可能性が高いことも明らかにしているので、鐘氏が世論誘導の役割を果たしている」
唐氏は最後に、「その目的の一つは、これから確認された症例がさらに増える可能性をほのめかし、もう一つは、当局が流行を隠蔽し、効果のない流行防止の責任を『環境から人への感染』という名目で『環境』に転嫁するものでもある」と述べた。
(看中国記者・岳詩涵/翻訳・徳永木里子)