杭州にあるアリババグループの本社(Danielinblue, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 中国のアリババグループは12月17日、画像や動画に含まれるウイグル人など少数民族の顔を検出するソフトウェアを開発したとして摘発された。アリババグループは、人権侵害を行う企業や政府関係者に対する米国の制裁が続く中、結果として制裁の次のターゲットとなる可能性がある。

 ワシントン・ポスト紙は、華為技術のウェブサイトで見つけた文書を引用し、華為技術の監視カメラがウイグル人の顔を発見した場合、自動的に警察に警告を出すソフトウェアをテストしたと最近報じた。これをきっかけに、華為スマートフォンのブランドアンバサダーであるフランスのサッカースター、アントワーヌ・グリエズマン氏が華為との契約を解約した。

 そして、ビデオ監視システムの米調査会社「IPVM」が発見し、「ニューヨーク・タイムズ」と共有した情報によると、アリババのクラウドコンピューティング事業のウェブサイトには、顧客が同社のソフトウェアを使って、画像や動画の中のウイグル人やその他の少数民族の顔を検出する方法が示されているという。

 同サイトによると、この機能はアリババのソフトウェアに組み込まれており、オンラインプラットフォームが監視を実施する際に利用されているという。

 ニューヨーク・タイムズ紙がアリババにこのツールについて質問した後、同社はウェブサイトを編集し、ウイグル人や少数民族の顔における内容を削除した。

 同社は、テストに関する詳細な情報を明らかにしたり、同機能に関する情報がソフトウェアの公式資料に含まれていた理由を説明したりすることを拒絶した。また、同社は少数民族の人の顔を検出するツールをテストしている理由についてもコメントを控えている。

 今回の発見は、中国共産党政権の人権侵害を非難する国際世論の嵐がアリババグループを突き動かす可能性があることを示している。

 シンガポール国立大学の上級研究員で講師のアレックス・カプリ氏によると、ワシントンが中国のテック企業への告発を増やしていることが、トランプ政権がテック業界で中国を切り離そうとしていることを示唆していることになる。カプリ氏は、アリババグループが中国の「国家技術のリーダー」であるという事実そのものが、ワシントンの次回の制裁の標的になるには、それで十分かもしれないと述べた。

 米国のクリーンネットワーク構想の論理では、アリババが次に米国より制裁を受ける中国企業になっても不思議ではない。

(看中国記者・文龍/翻訳・徳永木里子)