ベルンにあるスイス連邦院(イメージ:スイス連邦議会 http://www.parlament.ch/)

 非政府組織の人権運動「セーフガード・ディフェンダーズ」は最近、スイス政府が中国共産党(以下、中共)の警察の入国を承認し、裏で秘密捜査を行うことを認める密約が明らかになりました。契約の内容により、その秘密捜査の費用は全てスイスの納税者が負担することが分かった。密約が締結されて以来、スイス政府は総計13人の中国公民を中国へ強制送還しており、その後、行方不明になった。

 「セーフガード」のウェブサイトの報道により、スイス政府は、2015年12月8日に中共と秘密合意書「再入国協定」を締結し、中共警察が監視のない状態で自由にスイスに入国することができ、スイスで秘密調査を行うことを許可した。スイス政府は航空券や宿泊を含む中国側の支出をすべて負担しており、スイスの納税者が中共警察の支出を負担することになる。

 協定によると、スイス政府は中共警察の身分を秘密保持にすることにも同意した。これらの中共警察は、スイスに入国するために公式の身分を使わなくてもよい。観光ビザで入国したものとみられ、シェンゲン区を自由に出入りすることができる。2周間の滞在期間中に、中共警察は秘密裏にほとんどすべてのEU諸国に入国することができる。中共警察はスイスの監督を受けないため、EU全体にとって重大な安全リスクとなっている。

 中共の警察は、スイスでの捜査では完全に自由で、監督なしで活動しているし、スイス当局に違法入国と疑われている中国人を自由に尋問することができる。中共の警察は1日に6人まで「査定」ができ、2週間の滞在期間中に最大60人までの中国人と接触することができる。

 また、中共警察はスイス滞在期間中に中共の在外公館と連絡を取る権利を有し、中共公安部との連絡も許可されている、捜査日程が終わる時、中国側がスイス政府にある報告書を提出する。スイス政府はこの報告書に基づいて中共大使館と共同でどのような人が送還されるかを決定する。スイス政府は報告書を非公開にすると約束したが、契約上では中国側が提供した情報を検証すべきという規定はなかった。

 2016年、スイス政府と中共との密約によって、4人の亡命者を含む13人の中国人が中国に強制送還された。中国共産党公安部の報告書には、これらの個人の身元や帰国後の動向、スイス政府が彼らの身の安全確保の措置を取れたかどうか、詳細は明らかにされていない。

 スイス政府は今年8月、契約の更新期限が迫る際には、国会に通知しなければならないため、スイスのドイツ語メディア『NZZ am Sonntag』の報道により、中共との密約が明らかになった。これまで、スイスの国会や外交問題委員会は中国との密約が締結されたこと自体知らなかった。

 人権団体は、スイス政府の行為は、難民保護公約の「不送還原則」に違反する疑いがあることを指摘していた。「不送還原則」によると、保護を求める難民をその命が脅かされる地域に送還することをやるべきではない。

(翻訳・白鷺)