暗号化されたチャットアプリ「テレグラム」に中国共産党党員195万人のリストが流出し、反体制派が対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)に送信した。データセキュリティアナリストによる情報評価を経て、最終的に4つのメディアにリストが渡った。イギリスのメール・オン・サンデーは中国共産党が上海の英国領事館、大手銀行、製薬会社ファイザー、航空大手ボーイングなどに浸透していると分析した。
12月12日付の『メール・オン・サンデー』紙は、195万人の中国共産党党員が7万9000以上の支部に配備され、全員が入党時に「党の秘密を守り、党に忠誠を誓い、共産主義のために戦い、決して党を裏切らない」との宣誓をしたと報じた。
その中には、イギリスのセントアンドリュース大学で学び、イギリス領事館をはじめとする上海の中国領事館に勤務した経験を持つ中国共産党党員もいた。 注目すべきことに、領事館の党員の席は上海のMI6(秘密情報部)のスタッフの近くにあった。
英国政府中央部のホワイトホールの高官は、この情報は安全保障上の懸念を高めるものであり、上海領事館の「中国共産党党員」はMI6チームから遠くない場所に座っており、諜報員であることを認識している可能性があると指摘した。
これに加えて、同紙は、中国共産党に忠誠を誓った中国の学者がイギリスの大学に入学し、航空宇宙工学や化学など、かなりデリケートな分野の研究に携わっていたことを明らかにした。 一方、エアバス、ボーイング、ロールスロイスなどの防衛産業系企業は、中国共産党党員を何百人も雇用している。
さらに、2016年には、英国のHSBCとスタンダードチャータード銀行の19支店のスタッフの中に、600人以上の中国共産党党員がいたが、中共ウイルス(新型コロナウイルス、SARS-CoV-2)ワクチンの開発に携わった製薬大手のファイザーとアステリコムには、123人の中国共産党党員が含まれている。
これに対し、英国保守党元党首のアイアン・ダンカン・スミス氏は、今回の調査が、中国共産党党員が世界で最も重要な多国籍企業や学術機関の仕事、外交単位に潜入していることを証明しているとし、そのため、英国政府に対し、中国全土の領事館から共産党員を追放するための早急な措置を取るよう求めた。
元英国外交官で中国の専門家でもあるマシュー・ヘンダーソン氏は、これは中国がいかに英国の機関に浸透しているかを示す更なる証拠であり、「我々は狼と共にしている 」と指摘した。
中国の反体制派からの暴露を受けた対中政策に関する列国議会連盟は、18カ国の議会である欧州議会の議員約150人で構成され、中国政府の活動や影響力に密着して対策を講じている。
(翻訳・北条)