早くも1994年、科学者たちは、ヒマラヤが「根なし山」であることを発見しました。チベット高原の空中に浮かんでいるような、世界最高峰のヒマラヤの底に根っこがないことは今日まで、未解決の謎です。
いわゆる「山の根っこ」とは、地質学的には山脈が重力によって地殻を貫通し、地球内部に深く入り込む土台であり、地球マントルの組成部分です。一般的に、力学原理によると、山域が大きく重くなればなるほど、「山の根っこ」が大きく深くなり、山域の安定性が確保され、力のバランスが取れるようになるとされています。
ヒマラヤ山脈は世界最高峰の山で、ヒマラヤ山脈にはエベレスト山をはじめ、標高8,000メートル以上の山がいくつかあります。チベット高原はまだ若い大陸で、地殻の厚さはとても薄いのです。ヒマラヤ山脈のような巨大な山は、その重力がマントルを突き抜けて地中深くに山の根を埋めることができます。しかし、実際にはそうではありません。 何十年も前からチベット高原は未解決の謎であり、言及されることもほぼありません。 ヒマラヤ山脈だけでなく、ゴンテス山や崑崙山などチベット高原の高山の多くは「根なし山」です。 これらの山は、チベット高原に浮かんでいる空中楼閣ようなもので、いつか崩れていくのではないかと懸念されています。
近年、科学者たちは、ヒマラヤに根がない理由として、チベット高原を形成した造山運動の起源にあると考えています。 鮮新世と第四紀の変わり目に、チベット高原で激しい造山運動が起こり、地面が大きく持ち上げられ始め、それ以来停止したことがないため、山の根を形成することができていません。
では、チベット高原にあるこれらの巨大な根なし山は如何にバランスを保っているのでしょうか。 そこにどんな秘密が隠されているか、いまだに有力な答えは見つかっていません。
(翻訳・柳生和樹)