マシュー・ポッティンガー大統領副補佐官(国家安全保障担当)(English: Lance Cpl. Daniel A. Wetzel, Public domain, via Wikimedia Commons)

 10月23日、アメリカのマシュー・ポッティンガー大統領副補佐官(国家安全保障担当)は、英国のシンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange)」で「 Your Honesty:On China’s Relations with the World(意訳:率直な中国と世界との関係について)」というテーマで、オンラインで中国語でスピーチを行った。彼は中国共産党の統一戦線活動が、世界各地で密かに展開されており、知らずに西洋思想と民主主義制度を民主主義国家で変えていると警鐘を鳴らした。

 彼は演説の中で、統一戦線工作は中国共産党の「魔法の武器」であると指摘した。

 「中国共産党が内戦で勝利を収めたのは、軍事戦力だけではなく、イデオロギーと行動を通して敵に潜入して操る能力があったからだ。中国外務省が各国政府との外交を担当する一方で、統一戦線工作部は他国の情報を収集し、海外住民に影響を与え、海外のエリート層や機関を監視している。最近公開された情報によると、中国のデータベースには240万人以上の外国人の情報が含まれており、これらの公開あるいはプライベート情報を収集してアーカイブしている企業が、振華数拠信息技術(Zhenhua Data/略:振華データ) だ。同社のウェブサイトによると、製品の購入先は中国共産党の国家安全保障システムだという。振華データは、王室のメンバー、国会議員、裁判官、民間人、科学技術の専門家、新興企業家、海軍将校、海軍の水兵、教授、シンクタンクのメンバー、中央および地方の役人など、地球上のほぼすべての国の人事ファイルを網羅している。振華データは中国共産党の統一戦線の中では小役の存在であるのに対して、有名なアプリケーション開発者を含め、より強力な中国のハイテク企業は、それ以上の実力を持っている。中国共産党はこれらのビッグデータを利用して、権力と影響力を拡大している」

 ポッティンガー氏は「個人の選択、ひいては他国の国家政策にまで影響を与え、自らの有益になるという目的のために、中国共産党はビッグデータを収集し利用している」と述べた。ニュージーランドの学者であるアン=マリー・ブレイディ氏は、中国共産党の「一帯一路」などの活動が「統一戦線」の典型的な例として指摘した。「統一戦線」は、他国の政治体制を腐蝕・侵食し、他国の力を弱め、分裂を起こし、メディアの批判の声を抑圧し、エリートを金で黙らせ、中国共産党を擁護するように仕向けるための戦略である。

 ポッティンガー氏は中国共産党の欺瞞はいずれ暴かれる。「一帯一路」プロジェクトの巨額の無駄と腐敗がその一例だと指摘した。

 「米外交政策は、主権の維持と安定の促進、及び誤審を減らすために、トランプ大統領は『互恵主義』と『正直』の2つの原則を確立した。互恵主義とは、他国が自国の利益を損なえば、潜在的な侵略者を含めて『目には目を、歯には歯を』ということである。正直とは、友人やライバル、自分自身のことを率直に話すことである。民主主義国家ではこれが一番安全だ。真実を語ることを挑発と表現することは、独裁者が民主国家の発言を禁止するために使用する戦術であり、しばしば成功している。率直かつ正直な公開は、戦略的な誤審を減らして平和を促進することである」

 ポッティンガー氏は講演の中で、新疆問題にも言及した。中国国民に対して、中国共産党政権のウイグル人やその他の宗教的少数民族に対する政策をもっと知り、真実を求めるよう呼びかけた。「新疆ウイグル自治区で起きていることは、道徳的に反テロと何の関係もない。これはまさに、1948年に中国の外交官である張彭春が『国連世界人権宣言』を起草した際に、人権侵害を根絶しようとしたことと同じである。また、中国国内に強制収容所が設置されているのは、中国の哲学、宗教、道徳的思想のいずれにも裏付けを見つけることはできない」

 講演の最後に、同氏は「悪勢力の弱点は、真実が公にされることへの恐怖だ」と強調した。

(翻訳・藍彧)