(Pixabay CC0 1.0)
今年の7月20日で、中国共産党による自国民(法輪功学習者)の弾圧が開始されてから19年が経過する中、7月21日、東京某所にてSMGネットワーク地方議員部会(Stop Medical Genocide)の全国集会が行われた。
SMGネットワークとは、中国の医療虐殺を止めるために結成された国会議員、地方議員、有識者らのネットワークだ。
当日は全国各地から議員が集まり、神奈川県逗子市議会議員・丸山治章氏、新潟県柏崎市議会議員・三井田孝欧氏、広島県議会議員・石橋林太郎氏らが参加した。
なお、2018年7月20日現在、SMGネットワーク地方議員部会の活動には64人の地方議員が賛同している。
今回の全国集会では、中国で行われている「医療虐殺」の最大の被害者は法輪功学習者であり、現在も中国では臓器の海外輸出が行われている、と報告された。
集会参加者は次のように説明する。
「中国では『第11次5ヵ年計画』の一環として医療産業が挙げられていますが、ここで示されている医療産業こそ、法輪功学習者らをターゲットとした『臓器狩り』なのです」
「一般的に、臓器移植のドナーが見つかるまで最低でも2年以上かかります。これに対し、中国に行けばなんと1週間でドナーが見つかると言います。これは、現代医学の常識を覆すような臓器移植が中国で行われているからにほかなりません。つまり、臓器の需要に応じて、人を殺す。こうして医療産業が成立しているということです。これはまさに「殺人産業」と呼べる行為でしょう。この「殺人産業」が中国の成長戦略の一環に組み込まれているのです」
このほか、現在1700万人のウイグル族のうち100万人が強制収容所に入れられ、「臓器狩り」のターゲットにされているとの指摘もなされた。
SMGネットワークは、こうした中国政府による蛮行を止めるために日本の国会を動かすことを最終的な目的としている。
そして現在、SMGネットワークに賛同する議員たちが働きかけを行った結果、28の地方自治体から「臓器移植の環境整備を求める意見書」が出され、日本政府として中国政府に対して声明を出すよう要望が集まったという。
SMGネットワーク会長・加瀬英明氏は、SMGネットワークによる取り組みの意義を次のように説明した。
「タイの洞窟に少年らが閉じ込められた事件には全世界が注目した一方で、シリアやイラク、リビアなどでは毎日数千人が被害に遭っていることには関心が集まりません。同じように、中国の臓器移植の問題も誰も関心を持っていません。日本が人権に全く関心を持たない国として知られるということは、日本の国益にとっても由々しきことです。多くの民主国家が中国で臓器移植をすることを禁じ、議会やマスコミがこの問題について大きな関心をもって取り上げています。しかし、日本では全く取りあげられることがないのです」
「私たちの目的は、厚生労働省に調査を求めること、国会において中国で臓器移植を行うことを禁ずる措置をとってもらうことです。これは日本の国益の問題だけではなく、人権問題ですから、(私も)一緒に戦っていきたいと思っています」
また広島県議会議員・石橋林太郎氏は、広島県内での自らの取り組みについて次のように発表し、参加者たちに臓器狩り問題について一層の周知を訴えた。
「2017年10月に臓器狩りに関する上映会を行ったところ、60人が集まりました。また今年の6月にも公演会を行い、100人ほどが集まりました」
「現在はミニ上映会を企画しており、上映会に集まってきてくださった人にミニ上映会を開いてもらう、という取り組みを行っています。資料などは私たちが用意し、映像はネット環境さえあれば映せるようになっています。現在は1人の参加者の方が、自ら上映会の主催をしたいと言ってくれています」
こうした取り組みに加え、現在、SMGネットワークではパンダのぬいぐるみを抱いて写真を撮ってもらおうというキャンペーンを行っている。
ぬいぐるみのおなかの部分には生々しい縫い目の痕がついており、臓器移植の手術を行った後のパンダを表している。
このパンダを制作したのはチェコの芸術家バーボラ・バルコヴァ氏である。バーボラ氏は中国における「臓器狩り」の事実を知り「こんなことがあっていいのか」という深い悲しみと怒りを覚え、このパンダを制作する決心をしたという。
今回の全国集会では、この問題に関する請願を集め、それを政府に提出するいうことが確認されたのみならず、台湾・スペイン・イスラエル・イタリア・ノルウエーなどで制定された「中国での臓器移植を禁止する法律」と同様の法律を、日本においても制定することを目指すという方針が確認された。
今回の全国集会では、地方議員だけでなく国内外の有識者やジャーナリストが結集し、中国現地の状況についても報告がなされた。中国の経済成長の裏に隠された恐るべき人権弾圧の真相には多くの注目が集まっている。今回の全国集会を契機に、こうした注目がさらに多方面に広がっていくことを期待したい。
(文・出井 潔、写真・出井 潔)