11月3日、北京当局はアント・グループの上場直前に突然ブレーキをかけた。中国の公式メディアでは、アリババの創設者であるジャック・マー(馬雲)氏が従来の金融規制システムを故意に回避したと非難した。
中国アリババグループ傘下のフィンテック企業「アント・グループ(中国語:螞蟻集團)」は、当初、中国史上最大の新規上場株(IPO)になると予想されていた。上海証券取引所は11月3日夜、アント・グループの上場を一時停止する決定を発表した。その後、香港証券取引所での上場も停止したことが明らかになった。
その前日の11月2日、中国証券規制委員会のウェブサイトによると、中国人民銀行、中国銀行規制委員会、中国証券規制委員会、および外国為替国家管理局は、アント・グループの実質上の管理者である馬雲、代表取締役井賢棟、CEO胡暁明を呼び出して規制監督を巡る面談を行った。外界ではこの異例な面談は、馬氏の先日の「大胆な発言」に関連しているのではないかと推測している。
馬氏は数日前の上海外灘金融サミットでのスピーチにおいて、中国規制当局がイノベーションを阻害し、発展や若者の機会を十分に与えていないと直接批判した。彼は「私たちは金融の『當舗思想(質屋思考)』を改め、信用システムに頼らなければならない」と述べた。
馬氏は「中国は金融システムがないためにシステマティック・リスクがない。まだ完全に成熟した健全な金融システムがなく、不平等である。われわれはシステマティック・リスクを恐れるべきではなく、健全な金融システムを建設すべきだ。この二つは全く異なることである。中国に必要なのは文書の専門家ではなく、政策の専門家だ」と指摘した。
最近、習近平総書記と中国国家副主席王岐山がシステマティック・リスクの防止を強調したばかりだった。馬氏が中国に金融システムすらないことが最大のリスクだと直接反論したことは、中国共産党の指導者の面子が丸つぶれになったと一部の評論家が示した。
アント・グループが上場直前に停止されたことは、国際機関と中国および香港の投資家にも影響した。一部の金融専門家は、この事件の核心は中国共産党政権の横柄な取り扱いであり、国際投資家の中国への不信感がさらに増すだろうと指摘した。
(翻訳・北条)