近日、バイデン氏の汚職疑惑に関する証拠が次々と明らかになり世間を騒がせている。その息子であるハンター・バイデン氏のコンピューターハードドライブの内容が公開され、中国華信能源(以下:CEFC)グループのCEOである葉簡明(イェ・ジェンミン)との利益関連が明らかになった。そこで、この事件の重要な人物である葉簡明は注目に値する。
バイデン一家を通して米国や他の国々に浸透
米紙ニューヨークポストは10月15日に、ハンター・バイデンと葉簡明のCEFCとのコンサルタント契約を暴露した。ハンターが「紹介料のみ」で年間1,000万米ドルもらう契約だ。
米FOXニュースは10月16日、ハンターのメールに書いてある「大物」という人物がバイデン候補で、CEFCの10%の株式を受け取っていたというのは本当だと、信頼できる情報筋が認めたと報じた。
10月22日朝、ニューヨークポストは再び、ハンターの中国事業の最高責任者で、ビジネス・パートナーであるトニー・ボブリンスキーの声明文を転載、ハンターのメールが完全に事実であると報じた。ボブリンスキーは「大物」がバイデン候補であることを確認した。
その後、「ザ・ナショナル・パルス」は、バイデン家は唯一CEFCからお金をもらっているワシントンの政治家ではないと明かした。ビル・クリントン前大統領とその妻ヒラリー・クリントンは、自らの基金会を通じてCEFCから10万ドルをもらったという。
10月22日、元ホワイトハウスの首席戦略官スティーブン・バノン氏の番組「ウォールーム」は、バイデン氏の兄弟からと疑われるハンターへの手紙を公開した。その中に出てきた「O」という人物はオバマ前米国大統領かもしれないとネットで話題となった。同日、アメリカの保守的なウェブサイト「Gateway Pundit」は、メールにある「O」はオバマ前米国大統領である可能性があると指摘した。
10月22日、フォックスニュースは、独自入手した電子メールを公開した。 「第一段階国内連絡先/プロジェクト」というタイトルの電子メールは、バイデン候補の兄弟ジョー・バイデンが2017年5月15日に送ったもの。受信者はハンター及びトニー・ボブリンスキー、ジェームズ、ロブ・ウォーカーの他3人のビジネス・パートナーが含まれている。
メールに記載されている「対象プロジェクトの第一段階の主要な国内連絡先」のリストには、カリフォルニア民主党の連邦上院議員であるヘ・ジンリ、ダイアン・ファインスタイン、カリフォルニア民主党の元知事ジェリー・ブラウン、現在のカリフォルニア州知事・元サンフランシスコ市長ギャビン・ニューサム、(ハンターの友人)、ロサンゼルス市長エリック・エリックガルセッティ、サンディエゴ市長ケビン・フォールコナーが含まれていた。
さらに、このリストには、ニューヨーク州の多くの民主党員が含まれていた。それぞれニューヨーク州民主党知事のアンドリュー・クオモ、ニューヨーク州上院少数派リーダーチャック・シューマー、ニューヨーク州の民主党上院議員キルステン・ギリブランド、民主党ニューヨーク市長ビル・ブラシォ、ニューヨーク経済発展局長ハワード・ゼムスキー、マリア・ニューヨーク市経済開発会社CEOマリア・トーレス・スプリンガーである。
その他には、バージニア州の民主党元知事であるテリー・マコーリフ、ミネソタ民主党知事マーク・デイトン、民主党上院議員アル・フランケンとエイミー・クロバチャーなども含まれる。
ニューヨーク・タイムズは、2018年に「葉簡明が如何にワシントンの権力層に入ったか」というタイトルの記事を掲載し、葉簡明がバイデン家などの影響力のある人物と繋がった手法を紹介した。
ニューヨーク・タイムズは同年12月14日、葉簡明が2006年に政府によって撤収された資産を買い取り、中国華信能源有限公司と改名した報じた。葉簡明はこの時点をスタートに勢力を展開し、ワシントンにまで手を伸ばした。
報道によると、葉簡明はワシントンの高層と繋がるために、アメリカの大学やシンクタンクに多額の資金を提供した。権力を利用して自らの石油帝国を開拓する意図が明確だった。彼は海外事業を発展させながら、中国と米国の退職者向けの大規模なイベントを組織し、当時米国副大統領であったバイデン一家と会い、妻を連れて元米国連邦準備理事会のグリーンスパン会長に訪ねた。
ニューヨーク・タイムズによると、CEFCは石油業界における石油先物取引に焦点を合わせていた。葉簡明はかつて元米治安官員に、シリアで油田を購入したいので、シリアを爆撃しないように米軍を説得できるかと尋ねた。
葉簡明はロシアの国営石油大手ロスネフトの株式を取得するために、90億米ドルを費やした。東ヨーロッパとアフリカで取引を締結し、チェコのミロス大統領やトルコ大統領のタイプ・エルドアンと他の世界のリーダーとも会談した。。
また、チャド、南スーダン、イラクなどの戦争で荒廃した地域の海外の油田開拓権を取得した。北朝鮮の公式報道機関によると、葉は2011年に北朝鮮の指導者キン・ジョンウンにプレゼントを贈った。
「赤い商人」葉簡明のバックグラウンド
葉簡明は1977年に生まれた。かつて「フォーブス誌」に、2015年の「中国で最も神秘的なトップ500のCEO」と評された。「ウォールストリートジャーナル」は、葉簡明がわずか10年間で中国で4番目に大きな石油会社である中国華信能源(CEFC、China Huaxin Energy Company)を建設したと報じた。
CEFCは、2014年から4年連続でフォーチュン誌による「フォーチュン・グローバル500」にリストアップされた。 2017年7月は222位にランクインし、収益は437億米ドルだった。
香港の「サウスチャイナモーニングポスト」によると、習近平の直接的な命令で、葉簡明は2018年2月16日に逮捕された。2020年4月、上海裁判所はCEFCはの破産を宣言した。
葉簡明は、中国共産党諜報機関のバックグラウンドがあると言われている。事実、葉簡明は多くの退役軍人を雇用していた。「2000年頃、中国人民解放軍総政治部が葉簡明を代理人として慎重に選んだ。経済的利益を得るだけでなく、彼は世界の主要政治人物と繋がり、利益を駆使して他の国の権力者を買収し、世界で統一戦線を行う任務が与えられた」と分析したアナリストもいた。
葉簡明の出身につては、「人民解放軍関係者の家族」に生まれたという情報しかなく、彼の父親がいったい誰であるかは明白ではない。最近、台湾の「Looking to the Money」という番組では、葉簡明は周永康(注)の隠し子である可能性があると暴露した。事実、葉簡明の目、口、鼻、顎が周永康に似ているだけでなく、目つきも非常に似ている。
周永康は石油産業で財を成し、2002年に中国共産党中央委員会政治局の一員として権力を振るった。葉簡明が周永康と親子関係にあるとすれば、周永康は共産党幹部としての権力を用いて葉簡明をいとも簡単に裕福なビジネスマンに変身させることができただろう。
注:周永康(しゅう えいこう、1942年12月―)は、中国共産党幹部。第17期中国共産党中央政治局常務委員、中国共産党中央政法委員会書記。党内序列は2012年の時点で最高第9位。2015年6月、汚職により無期懲役に処された。
(翻訳・北条)