北京市の人力車(イメージ:Pixabay CC0 1.0)

 中共ウイルス(新型コロナウイルス)が中国経済に対する打撃の結果、貧富の差が拡大した。2020年のフージワーフの中国富豪ランキング (胡潤百富榜)によると、今年は中国の億万長者が例年よりも裕福になっている一方で、数億人もの低所得者が失業や賃金カットに苦しんでいるという。一部のアナリストは、貧しい世帯の所得減少により、低迷する需要で多くの雇用機会を提供する中小企業が損を被るという悪循環を成していると指摘した。

 コロナ禍のせいで中国の貧乏人をより貧乏に、金持ちをより裕福にさせた

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は10月22日、中国の高所得者は今年もほとんど仕事を維持しており、彼らが投資した株や不動産も右肩上がりし続けていると報じた。同時に、数億の低所得者は依然として失業や賃金減少の苦境にあり、彼らは福祉保障と生活資金の両方が不足している。

 10月20日に発表された2020年度の中国富豪ランキングによると、中国の億万長者は今年、例年よりも裕福になったという。リストに載っている富豪たちの総価値は1.5兆ドルに達し、過去5年間の増加の合計を上回り、半年間のイギリスのGDPに相当する。

 アリグループの調査と中国家計調査によると、高所得世帯の富が今年上半期に増加したのに対し、貧困世帯の富は減少した。

 Gavekal ResearchのアナリストであるWei He氏は、中国で6割を占める低収入家庭が2020年上半期に約2,000億ドルの収入を損失したと推定している。

 報道によると、今年の貧富格差が拡大したのは、ますます多くの低所得世帯がコロナ禍がもたらした連鎖効果に対応するのが困難であることが原因だという。

 学者、貧困家庭の所得低下が悪循環を生む

 中国共産党は20世紀90年代と21世紀初めの10年間の改革で経済成長を促進したが、このような成長の代償は富分配の不平等を増大させ、社会矛盾の激化をもたらした。

 国際通貨基金(IMF)の調査によると、中国は世界で最も貧富の差が大きい国の一つであるという。北京大学の2015年の研究によると、富裕層にある1%の世帯は中国の富の約3分の1を所有しているのに対し、低所得層にある25%の世帯は中国の富の100分の1しか所有していない。

 中国の問題点として、欧米のような包括的な失業保険制度が設立されていないことだ。これは、多くの家族が景気後退を乗り切るために、より多くのお金を貯める傾向を助長している。

 米テキサスA&M大学の経済学教授甘犁(がん り)氏は「貧しい世帯の収入が減ることで支出が減り、悪循環を生む可能性がある。このサイクルにおいて、需要が減少することで多くの低所得者を雇用している中小企業が打撃を受ける可能性がある」と述べた。

(翻訳・藍彧)